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第5話


 「・・・起きろ!」


 「げほぉ!」


 そんな一声と共に健治のおなかに衝撃がかかった。

健治は最悪な目覚めと同時にそれをした相手を確認するために瞼を開けると、そこには不機嫌+寝不足の顔をしたミケが腕を組みながら健治の隣で足をおなかに乗せて見下ろしていた。


 「私が徹夜で改修作業をしていたのに、健治殿はのんきに就寝中ですか」


 どうやら徹夜で開発してくれていたようだが、そのことを聞いてはいないので理不尽極まりないがこの状態の人間にそんなことを言えばさらに悪化するのである。


 「それはすまない。 悪かった」


 そんな時は直ぐに謝っておくことに限る。

たとえ健治に理由がなくてもこんなことから信頼関係に亀裂が入ることもあるのだし。


 「ふん!・・・だが、このことを健治殿に怒っても関係ないのだがな、いくつかできたので渡しに来たらグースカと寝ているので腹が立ってな。・・・・・・すまんな」


 自分の中で整理ができたのか、少しずつ落ち着いてきたようだ。

ミケが落ち着く間に、健治は野戦服に着替えておく。


 「でだ、昨日健治殿が改修、開発を依頼した物でいくつか終わったのでな。できたのは四式自動小銃(箱型弾倉)に44型7・92mm突撃銃(Stg44)、42型7.92mm機関銃(MG42)と54型8.8㎝対戦車ロケット(ラケッテンパンツァービュクセ54型)の4つだ。 他はまだかかるな、特に砲艦「伏見」はながくなるな」


 着替えが終わりミケの方に振り返ると緑茶におはぎをぱくつく姿が見えた。 どうやら機嫌は直りつつあるのだろう。

 

 「ちなみにこれがその仕様書だ」


 すると、白衣のポケットから一束の書類を健治に渡す。

見るのに億劫になるが見ておかないとここでは命に係わるので見るしかない。


 「四式自動小銃のサイトには、ドイツ軍Kar98kのZF39スコープを付けてあり使用しないときにはずらせるようにしてある。これにより有効射程を延ばすことができた。あと、四式の弾薬はドイツの7.92mmマウザー弾に統一してある。 他の3つに関しては特に変えていない。

あまりいじるところがないし、いじり過ぎると史実の日本軍のような補給の混乱が起きかねん」


 ドイツ軍のMG42型機関銃とアメリカ軍のブローニングM2重機関銃、あとスウェーデンのボフォース40mm機関砲は絶対に作っておかないといけない、この3つの機銃は半世紀以上現役であり続けている傑作であるからだ。

 これから、この世界でどんな魔物が出たくるかわからないための対策でもある。


 「わかった。あとはこれの動作確認と射撃訓練をしないとな」


 健治は、ベットに置いてある4つの火器をみて今後の予定を考える。

しかし。


 「その前に、朝ごはんだな・・・」


 昨日、歩き回ったからか朝でも強い空腹を感じていた。

朝飯を食べるために、健治はアイテムボックスに機関銃と突撃銃、対戦車ロケットをしまい。 代わりに個人装具をつけ四式自動小銃を肩に担ぎ、食堂に行く準備を整える。


 「うん?もういくのか。・・・では、私は一休みと行こうかな」


 そういうと、ミケはインカムに戻っていく。

相変わらずマイペースに行動しているが、依頼はちゃんとしているので何も言うまい。

 健治は、部屋を片付けて一階に降りていく。

降りていくにつれて食堂の方からいい匂いがしてくる。どうやら、宿屋の主人たちはもう起きて働き始めているみたいだ。


 「おはようございます」


 「ああ、おはようございます。 健治殿、昨日はよく眠れましたか?」


 「ええ、おかげさまで」


 「それはよかった。 では、そちらの席に掛けてください。 今、朝食を出しますので」


 「はい、お願いします」


 健治は主人の言葉に従い、席に着くと。

直ぐに、朝食が手渡される。 メニューは黒パンに具だくさんの野菜スープであった。

 健治が朝食に手を付ける始めると。


 「「おはようございます。」」


 二階から二人の男女が降りてくる。 二人の腰には一本の長剣を吊るしていた。

彼らは、席に着くとニナに声をかけて、朝食を頼んでいる。

 少しして、ニナが彼らに朝食を運んでいくと何かを思いついたのか歩みを早めた。


 「お待たせしました。 どうぞ」


 「「ありがとう」」


 二人が朝食に手を付け始める前にニナが彼らに話しかける。


 「あのすみませんが、お二人は今日どちらへ」


 「うん?これから森に薬草を採りに行ってたら、リーブスに帰るよ」


 「そう何ですか?でしたら、あの・・・あちらの方をリーブスにまで案内してもらえないでしょうか?」


 ニナがこちらを見ながら何かを頼んでいるみたいだ。 彼らと目があったので会釈をしておく。

二人があっという間に食べ終わると健治の方へ向かってくる。


 「すみません。 あなたが健治さんですか? 自分はリックといいます。こちらはレナ、先ほどニナさんに頼まれましてリーブスの街まで案内を頼まれまして」


 「それはありがたい。出発は今からですか?」


 「いえ、自分たちはこれから森に行くので出発はお昼過ぎを予定してます」


 「わかりました。では、お昼過ぎに」


 「ええ、よろしくお願いします」


 二人はそう言うとカウンターから昼食を貰い宿屋を後にする。

テーブルを片付けたニナが健治のもとにやってきた。


 「あの・・・余計なことでしたか?」


 「そんなことはないですよ。ありがとございます。それより彼らは何をしに森に?」


 「彼らは薬草を採りに行ったんですよ。この村の森で採れる薬草は質がいいし、時折群生しているので低ランクの冒険者がよく採りに来るんですよ」


 そういうと、ニナはカウンターから一枚の紙を健治に渡す。それには薬草と毒消し草の姿絵が描かれていた。また、簡単な説明も添えられている。


 「これがその薬草です。健治さんも一枚お持ちになりますか?」


 「ああ、じゃ貰うよ」


 健治は、ニナにお礼をいい。朝食を食べ終わると装具を身に着つけ宿屋を出発する。

宿屋を出ると、村人はすでに仕事を開始していた。あちこちから早朝の慌ただしさが聞こえてくる。

各家には、おそらく村の畑とは別に自分たちが食べる分を育てているのだろう。 小さな畑があり村人が水を撒いていた。

 どうやら、ジョウロみたいなものはないみたいだ。

井戸でバケツに汲んで水を入れて、畑にまいている。その井戸も手押しポンプもなく人力であった、もっとも村にないだけで都市部にあるのかもしれないが。

 村の門に近づくと昨日も門番していた二人が健治に声をかけてくる。


 「よう、昨日はニナを助けてくれてありがとうよ」

 

 「いえ、助けられてよかったです。・・・と」


 「・・・ああ、そうか名乗っていなかったな。俺はリッツ、こっちはデルだ」


 もう一人は、無口なのか会釈をしただけであるが不快はかんじなかった。


 「これから、森に?」


 「ああ、少し歩いてくるだけだ。昼には宿屋であった冒険者にニナが街まで案内してもらうようにしてくれてな、だからから遠くにはいけないしな」


 「そうか、確かに先ほど二人の冒険者が出発していったな。 なら早めに帰ってくることだな、彼らはおそらく低ランクの冒険者だから懐もさびしいだろうからなるべく早く街に帰りたいと思うしな」


 「なるほど、では早めに帰ってくるよ」


 そう返すと健治は森に入っていく。 

今回の目的は、機関銃の試射をするためであるので少し奥の方に行かないといけない。

発砲音が村に響けば村人に警戒して冒険者に依頼されては余計な事態を招くだけであるからだ。

 四式自動小銃を肩にかけて、ミニマップを確認しながら進むことに、しかし村の近くには魔物はいないのでこのまま歩いていく。

村から数十分歩くと、ポツポツだが反応が出てくるがまだ遠い。道すがら薬草が生えているので採取しながら歩いていくとここから少し行った広場のところに反応が5つ、緑が2つと赤が3つ。

 

 「どうやら戦闘中みたいだな」


 だが、戦闘中にしてはおかしい。 光点の4つは近くにいるが赤の1つが少し離れていることが気になった。健治は身を屈めて離れた敵を確認しに行く。

 広場を見渡せる場所に到着して見ると状況が理解できた。2つの緑の光点は今朝がた出会ったリックとレナの二人であり、リックは足を抑えている。どうやら、足に矢を受けてしまったようでレナが必死に防戦をしていた。


 「離れた赤い光点は弓持ちのゴブリンのようだな」


 離れた赤い光点のある場所を見ると樹の枝に矢を構えた奴が見える。

健治のことは見えていなのか二人のことだけを警戒していた。


 「あれをどうにかしないと危険だな」


 健治は、四式自動小銃の弾倉を確認してチェンバーに初弾を装填し、スコープを起こす。

サイトをゴブリンに合わせていく、スコープ越しに見えた顔はひどく醜い。

ためらいはもうなくなっており、トリガーは容易に引けた。

 四式自動小銃から放たれた7.92mm弾がゴブリンの頭を吹き飛ばす、突然の銃声に驚く4人がいたが健治はそれを好機と見て素早く残りのゴブリンにサイトを合わせると続けて打ち込む。

広場にいた2匹も頭と胸に銃弾をうけ、動かなくなった。


 「ふぅ。片付いたな」


 健治は周囲を確認してから二人に向かって歩いていく。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 「いったい今のは・・・なんだんたの?」


 そうつぶやくレナにリックは答えることができない。 自分も同じであるのと足の痛みで考えがまとまらないのもあった。

 自分の不注意でゴブリンに気が付かず、真っ先に足を矢で撃たれてしまい。レナを守ることができず、逆に守られることに悔しさがあったが聞いたことのない音がしたと思うと、木の上から俺たちを狙っていた弓持ちが落ちてきた。

 続けて2回、音がすると目の前の2匹も倒れて動かなくなる。 よく見るとそれぞれのゴブリンには小さな丸い穴が開いていた。

 これがなんなのかわからずにいたら近くの茂みから棒を持った人が歩いてくる、よく見ると朝に宿屋で合った人だった。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


 「二人とも大丈夫か?」


 隠れていた茂みから広場に出て、二人に近づいて行く。

二人も健治のことを見て驚いている。


 「ええ、大丈夫です。そのありがとうございます」


 「助けてもらいすみませ・・・っ」


 リックは足を押さえて、顔を曇らせる。矢自体はもう抜いてあるみたいだ。


 「リックだったか。手当をするから足を見せてくれ」


 「えっ、いいんですか?・・・しかし」


 「別に、手当をして金を毟ったりはしないから安心しろ」


 健治は雑納から消毒薬と包帯を取り出す。 リックのズボンを銃剣で少し切り裂き、傷口を出すとリックは顔をしかめるが気にせず薬をかける。


 「~~~~~~!!!」


 消毒薬が傷にしみるのか声にならない声をするが、しなければ化膿していしまうので無視する。

レナが心配そうにリックを見ているのかイラっとしたので少し多めに薬をかけておく。

余分な消毒薬を拭き、包帯をしっかりと巻いていき手当は完了した。


 「どうだ、歩けるか?」


 「ええ、歩けます。ありがとうございます」


 「ほんとに、ありがとうございます」


 もう大丈夫なのか、リックは直ぐに起き上がると近くにある荷物を取りに行く。


 「すみません。では、村に帰りましょう」


 依頼はもう終わったのかレナもうなずくので健治は村に帰ることになった。

健治としてはまだ試射が終わっていないので不満があるが今度は彼らを待たせることになるので仕方なしに帰ることに。





































 まだ、街にいけない(~_~;)

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