第2話
光が消えていくとそこには、森が広がっていた。
青々しい草などが生えており、木々の間からは陽の光が差し込んでおり幻想的な景色が目の前にある。
「・・・異世界に、来たんだな」
少し前には、考えられなかったことに呆けていると。
「なにを呆けているんだか。ここはあなたのいた安全な日本ではないんだ、しっかりして貰いたいんだが?」
「っ!」
突然声を、かけられたことにビクつきながら振り返るとそこには・・・。
「誰も・・・いない?」
異世界に来たことによって幻聴でもしたのかと思い視線を下にすると。
「振り返って見て、大した確認をせず決めつけるとは警戒心が低すぎるのでは」
ネコがいた。
いや、正確にはネコの耳を付けた人が丸太に腰かけていた。
背は大体140センチぐらいで寝不足なのか目には深いクマができている。
さらに視線を下げると、白衣に作業用のつなぎを着ているが白衣の丈が合っていないのか三分の一は地面についている。
「・・・えっと、誰?」
「人に名前を尋ねるのなら、まずは自分からと。親に言われなかったのですか?」
深いクマのできたタレ目から、不快感と不機嫌が合わさった視線が健治に突き刺さた。
「すまない。自分は健治。 立花 健治だ。・・・君は?」
若干、気を抑えられながらなんとか答えることができた健治に彼女は少し口角を上げる。
「ええ、存じていますよ。私を助けるためにトラックに飛び込んだ恩人ですから」
右手を頬に添えてそう答える。指の間から見える瞳は先ほどの不機嫌さから好意的な物に変わっていた。
「じゃ君があの時のネコ」
「私の名前はミケ。そして、あの方にお願いしてあなたについてきた変わり者ですが・・・ね」
「普通は、転生者に神の眷属が付いてくることなんかあり得ませんが、健治殿のスキル構成が心配になってついてきてしまいました」
「俺のスキル?」
「ええ、まずは確認をしてみてください。ああそれとスキルを見たいときはステータスと念じてみてください」
言われる儘に、健治はステータスを呼び出す。
名前:立花 健治
年齢:18歳
所有スキル:兵器召喚(日・独・米の1941年12月8日までに生産・試作済みまで)
施設・軍事物資・資源の召喚
兵器・兵士を完璧に使える
専用魔道具:メディカルガン(あらゆる病気・怪我を治す)
*最大3発。ひと月に一発充填される。
「・・・ん?」
スキルを確認していると、無視できない説明分があることに気が付く。
もう一度見直すが同じであった。
「気が付いたようだな」
ミケがようやく自分が心配していたことを健治が気づいたことに安堵する。
「・・・なんで、大戦初期のしか召喚できないんだ?」
「それは健治殿がそうスキルを組んだのだぞ」
「えっ!」
「よく思い出してみよ。あの方にスキルを頼んだおり、第二次大戦時の兵器を使いたいと健治殿が言った時あの方は二~三ヵ国と答えてだろう」
「あ~~~確かに」
あの時深く考えず、そして欲張って三ヵ国と答えたなと思いだす。
「二か国なら大戦終結までいけたのだが、三ヵ国と答えたから初期の兵器しか召喚できんよ」
「~~~~~~!やっちまった~~~!」
両膝を着いて叫んでいると。
「だからこそ私がついてきたんだが」
「?」
何のことかわからず膝をついたままミケのほうを見ると、ミケはない胸をそらして腰に両手を当てていた。
「わたしなら、陸・海・空すべての兵器を開発できる。ただし、健治殿の今のレベルで直ぐに開発できるのはせいぜい大戦中の兵器しかできんがな」
「ということは、レベルが上がれば現代のも?」
「時間はかかるがいずれな」
「・・・わかった。今はレベルを上げるのと、拠点・あと仲間を作ることだな」
「話が理解できてよかったよ。なのでこれを健治殿に進呈しよう」
そういって渡してきたのは前世で使っていたスマホだった。
「私からの連絡もこれで取れるし、ミニマップの完備の優れものだ。開発して欲しい兵器があったらこれのメニュー画面から決めて送ってくれ」
「兵器の仕様や設計を変更したいときは?」
「要望を張って送ってくれればその通りにするさ」
つまり、ある程度の欠点は解消できるの、か。
「わかった。ありがとう」
「では、どんな要求が来るのか楽しみにしているよ」
「一緒に行かないのか?」
「私はこれでも神の眷属だあまり長いことこの世界にいないほうがいいからね。 じゃね健治殿」
そういうと、ミケは光の球になって健治のスマホに入っていく。
「わりと近くにいるんだな」
いなくなると聞いたとき沈んだ気持ちがあることに少し苦笑する。
「さて、装備を決めてから人里を目指すか。 改修をする兵器は宿で決めればいい」
メニューリストから兵器召喚リストの項目を選び、装備を決めていく。
選んだのは。
主武装に7.92mmKar98k
副武装はFNブローニングM1910
柄付き手榴弾24型
服装は36型野戦服と個人携帯野戦装具一式、M35ヘルメット。
装備を決定していくと、決定していった物から変わっていった。
すべてが終わるとそこには一人のドイツ兵に変身した健治の姿がある。
「よし!ここからが異世界での最初の一歩目だ」
覚悟を決めて歩き出す。