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第18話

 早くできたので投稿します。

 「なんだーーー!この浜の状況は!!!足の踏み場もないじゃないか!!!」


 ミケが重巡洋艦「高雄」から降りての最初の声がこれであった。

まあ、高雄をドックに係留してから最初に見る浜が空薬莢がそこかしこに散乱し、美しい島の海岸が大規模な上陸戦があったような状態だあれば、誰でも叫びたくなるのは当然であろう。

 死体がないだけ遥かにマシであろう。


 「健治殿!アーシェ!レリーナ!」


 「「「はい!!!」」」


 「そこに、直れ!」


 それから、数時間に渡りミケからのありがたいお言葉が続いた。




 2時間後・・・


 「・・・健治殿今回はこれくらいにしておこう。だが、次はきちんと片づけながら訓練をして欲しい。なので今から海岸の掃除を頼む」


 「・・・わ、わかった」


 ミケに睨まれつつ、海岸に散らばる空薬莢を回収しに行くことに。

それを見送りつつ、ミケは視線をアーシェに移す。


 「それと、アーシェ」


 「はいっ!」


 「お主は、健治殿の副官であろう。なぜこのことを言わぬか」


 「えっ!それは・・・その」


 予想外の問に言葉つまるアーシェを見て、小さくため息を吐くミケ。


 「ふむ、アーシェ。もしや自分がただの数合わせの人間だと思っていないか?」


 「ち、違うのですか?」


 「違う!まあ、確かにはっきりと伝えたわけではないからわからなくても致したかないのか。だがお主は健治殿の副官、つまりサポートをするポジションだぞ?」


 「サポートですか?」


 「そうだ、簡単に説明すると軍隊においては隊長を筆頭に隊長の事務仕事の手伝いをするのが副官でまあ秘書みたいなものだな、もう一つが部隊の指揮を手伝うのが副長という、こちらは隊長がいないときに部隊の指揮をするのが副長の仕事となる。お主は副官の位置になる」


 「はあ」


 「まあ、お主は普段から健治殿について行き。どこに何があるか?どこに行けばいいか?などに彼の護衛も仕事に入っている」


 「なるほど」


 「ちなみに言えば、アーシェ。健治殿はお主に少なからず惚れておる」


 「ちょ!!!ミケ」


 健治がミケの答えを遮ろうとしたいがうまくできていない。

アーシェに関しては、目線をそらしてあさっての方向を向いている。

 レリーナは赤面する二人を見て、恥ずかしがっていた。


 「まあ、副官の仕事はこれから覚えていけばいいさ。健治殿、作業場は作ったのかね?」


 「ああ、ドックの向かい側に作った」


 「そうかい、なら私はこれからあの船に搭載する主機関の改造に入る。あとは・・・」


 「「「「「「「にゃ~~~」」」」」」」


 ミケの体が発光して、七匹のネコ娘が現れる。

 

 「あとは、この子たちにお願いしようと思う。健治殿はこの子たちの要望を聞いて、必要な資材を出して欲しい」


 ミケは呆れ気味に話を切り上げると、健治に分体を預けると作業場へと入って行った。

それを見送ると、七姉妹の長女であるリクが代表で前に出てくる。


 「それでは、司令。我々はこのまま作業に入ろうと思います。資材の方はあとでリストにまとめますのでその時にお願いします」


 「わかった。よろしくお願いする」


 「では」


 リクは敬礼をして、他の姉妹たちと共に乾ドックに入れてある。

木造船に向かっていった。


 「さてと、俺たちは夕食にでもしようか?」

 

 「いいんですか?」


 「他にやることないし、日も暮れるしな。二人ともいいな?」


 「はい、師匠」


 「・・・わかりました」


 少し納得いかないような表情をしていたが、食事も大事なので割り切って仕度を手伝うアーシェと嬉々として手伝うレリーナは本当に正反対だと思う。

 夕食を作るために「高雄」へと先に行く二人を見て、そう思うのだった。





 次の日。

 

 太陽が真上に上る頃、作業に入っていたミケが工房から姿を見せる。

やはり徹夜をしたのだろう目元にはさらに深くなったクマが遠くからでもはっきりと確認できた。


 「やあ、健治殿」


 「お、おはよう。なんかすごく眠そうだな」


 「昨日から、寝ていないからね。さすがに・・・やばい」


 そういえば、健治は仮眠をしていたがミケは前日の「高雄」の改修から戦闘・操舵と寝ている時間はほとんどなかった。

 つまり、完徹二日目である。 本人は3日は平気だと言ったがそれは研究時の目安のはず、そろそろ限界なのかもしれない。


 「なら、艦内で寝ているか?」


 「そうするよ。あの子たちはこのまま作業をしていれば・・・あと、三日ぐらいで改装は終わるだろうがこれから来る奴らに操船の技術を教えるのにどれくらいかかるかわからんし、だがあの方のお言葉もある。

 あまり長くはできんな」


 「だよな・・・よし、改装が終わり次第訓練開始して、一日訓練してから町まで慣熟航海をする感じか」


 「・・・そうだな、まああとは彼らのやる気による所が大きいがな。・・・考えても仕方ない、私は寝る」


 「おやすみ。ミケ」


 「高雄」艦内の自室に向かうミケを見送ると、健治は二人を待たせている海岸へと歩いていく。

今日も訓練の予定にしているが、そろそろイマサ(二等輸送艦103号)が到着するので野砲などの長射程の兵器は、誤射の危険があるので違う物にする。


 「二人とも今日も訓練をするけど、射撃訓練ではなく車の運転をやろうと思う」


 「車ですか?・・・そうですね、いつも主に運転をしてもらっていますから。やります」


「師匠、私もお願いします。できると事を増やしていきたいので」


 これに関してもやる気は十分にあるようだ。

そう考えた健治は様々な車両を召喚していく。


 ・97式オートバイ

 ・94式自動貨車

 ・キューベル・ワーゲン

 ・クルップ・プロッツェKfz70

 ・97式軽装甲車 テケ

 ・4輪軽装甲車Sdkfz222

 ・軽半装輪式装甲兵員輸送車Sdkfz250

 

 と、二輪から四輪、半装輪と非装甲・軽装甲の車両群を召喚していく。

基本的に車が動かせれば戦車も動かせるという、聞いた話では戦車の訓練を受けていない新兵に操縦をさせたらしい。

 

 「じゃあそれぞれ乗車して、動かしてみようか? 各座席にマニュアルが置いてあるから、まずはそれを読んでからだけど」


 「はい!主」


 「今日中に物にしてみます。師匠!」


 今日中に習得する必要はないのだが、やる気に水を差すわけにはいかないから口には出さない。

健治もスキルで動かせるが、確認のために車両へと歩き出す。

 どれに乗ろうか・・・迷うな。




 三人が練習を始めて数時間後、高雄から連絡が来る。


 「司令、間もなくイマサが島に到着するようです。 ですが、予定にない人物が乗艦したようです」


 「誰だ?」


 「あの町のギルドマスターのようです」


 「あの人が?何か用だろうか?」


 「さすがに、それはわかりませんが。いかがしましょうか?」


 「来たのなら、仕方ない。だが・・・この兵器群は見せられないな」


 健治は訓練で使った車両に目を向ける。

今日使った物は、攻撃性は低いがこの世界にとっては未知の物でしかない。

 軍艦を使ってしまったが、あまり大っぴらにしては厄介ごとが寄ってこないとも限らないのだ。


 「アーシェ、レリーナ!車両をしまうからきりのいいところで終えてくれ」


 「はい」


 「了解です」


 ほとんどの訓練が終わっているので、終わった兵器を回収していく。

浜辺にできたタイヤ痕は竹ぼうきで消す、二人も手伝ってくれたので意外と早く終わった。

 やることがなくなってしまったので久しぶりにスキルを確認する。

 

 名前:立花 健治

 年齢:18歳


 所有スキル:兵器召喚(1942年12月31日まで試作・生産された物)

       施設・軍事物資・資源の召喚

       兵器・兵士を完璧に使える


 ・・・うん?

 

 「なんか。変わってないか?」


 確か、兵器の召喚できる年数は1941年のはずだった。

もしかして、昨日射撃訓練で撃ち落した魔物でレベルが上がったのか?

 バッシブ系スキルはどうなんだろう。


 ・異世界言語 身体能力強化(中) 精神強化(中) アイテムボックス 鑑定 new部隊能力強化


 ・・・やっぱり増えている!既存のスキルは能力アップしているし、新しいスキルがいつの間にか増えている。

 鑑定で調べてみるか。


 部隊能力強化:スキル保持者の部隊に所属する兵士・整備兵など能力が上がる。(パーティーメンバーも含む)

 

 これは、仲間の能力を強化スキルのようだがどれくらい強化されるかはこれから確認しないといけない。

だが、それを確かめるための相手がいない。

 それにしても召喚できる兵器の年数が1941年12月8日までだったのが1942年12月31日となっていた。

 これなら、魔物を狩りまくってレべリングをした方が大戦時の兵器を早く使えるようになりそうだが、昨日の魔物でそんなに強いのがいたとは思えないが・・・もうすぐサリカが来るから、鑑定をお願いしてみるか。



 そんなことを考えていると、沖合から船の汽笛が聞こえてくる。

どうやら、イマサが到着したみたいだ。

 接舷ドックの方に歩いていくと、入港しているイマサを見える。

ラッタルが降りると、我先にとサリカが降りてきた。

 その後ろには、ギルマスが周囲を興味深そうに見ながらそれに続く。


 「やあ健治、戻ってきたよ。まさか別の島に移動していたとは思わなかったが、こんな物を持っていたとはね」

 

 支援基地に興味深々の様子だが訓練が終われば、撤去すると教えるとかなり驚いていた。

自分も使おうかと思っていたのだろうが、まだ早い気がする。

 サリカにギルマスが来た訳を聞こうとすると、先に本人が口を開いた。


 「・・・今回は、助かった。被害も少なく感謝する」


 「こちらこそ。でもこちらもただで受けたわけじゃない」


 「・・・そうか、だが海賊を壊滅させたのは事実だ。今回俺が来たのは三人のランクの更新のためだ」

 

 「更新?」


 健治が不思議そうに首をかしげると、ギルマスは更新用の水晶を出しながら答える。


 「・・・今回お前の力を、報告書とこの船に乗って感じた。いつまでもEランクのままだと安い依頼料で無茶な仕事をさせられないとも限らないからだ」


 「そうか・・・それは、ありがとう」


 「・・・いや、俺にはこれくらいしかできんからな」


 健治たちからカードを受けとり、更新していくギルマスの精一杯の擁護なのだろう。

これまで、秀でた力を持った若い冒険者が死んでいったことを何度も見てきたはずだ。だからこそ、今まで見たこともないほどの力を持ったこの者を下らない貴族たちの汚い争いに巻き込みたくはなかった。


 「・・・・できたぞ」


 「ありがとう。・・・!!!いきなりCランクは上げ過ぎなのではないのか? それにアーシェ達のも」


 「・・・Cランクで、一人前の証だ。一ギルマスにできるのは、これが限界だ」


 「いや、そんことを聞いていないんだが。いいのか?」


 「・・・ああ、でなければ。これから苦労するのはお前たちだ、それに馬鹿な貴族に使い潰されるのは我慢ならん」


 表情には出にくいが、握りしめたこぶしには血が滲んでいた。

おそらく、今まで中で何度かあったのだろう。


 「・・・ではな。俺は船に戻る」


 用事が終わったのだろう、彼は踵を返すように船に戻っていく。

それを見計らってか、サリカが話しかけてくる。


 「まあ、あいつに関してはあまり心配しないでいい・・・もう、割り切ったはずだ」


 「・・・わかった。これ以上は聞かない」


 サリカは顔を顰めるがそれも一瞬のことだった。


 「さてと、健治。船員は連れてきたが肝心の船はできたかい?」


 「ああ、あとは艤装を乗せれば終わりだ。明日には訓練ができるよ。艦名は「若葉」だ」


 「そうかい、・・・って、早くないかい!私も造船に関しては素人だがそんなに早くできる訳ないだろう」

 満足気に頷いたものの、あり得ないという顔をするサリカ。

普通、商人はポーカーフェイスが基本だと思っていたが気のせいだったのだろうか?


 「まあ、深くは考えないでいいよ。それより、サリカに鑑定をお願いしたいんだがいいか?」


 「う~~~ん、まあいいだろう。で、何を見ればいいんだ?」


 「これ」


 健治はアイテムボックスから昨日倒した魔物を出していく。

出てくる魔物の死体に、段々と表情が驚きに変わっていった。


 「け、健治。まさか、これ全部かい?」


 「ああそうだよ、少なかった?」


 「いや多すぎだ、それにこれは・・・ほとんどがビックバットだが」


 大型の蝙蝠の中に、埋もれるようにそれはいた。


 「・・・なぜ、グリフォンがいるのだ?」


 全身に穴だらけになっているグリフォンを見ながら確認をとってくる。


 「いや、ちょうど4連装2㎝対空機銃の訓練の時に近くに来て襲ってきたから撃ち落した」


 えっへんと胸を張る健治をよそに、サリカは頭を抱えた。

グリフォンは、海を飛び越えることができるそのため希少性が高く。その攻撃性からAランクの魔物として知られている。

 それを簡単に倒したと言いのける彼に頭痛がしてきた。

 

 「健治、とりあえず言っておくがグリフォンはAランクの魔物だ。あまり言いふらさないほうがいいぞ」


 「ああ、やっぱり。そうなんだ」


 アイテムリストを確認したときレベルが上がった原因がこれだと思っていたが、案の定である。


 「はあ、あの船のといいこのグリフォンといい本当に驚かせるね」


 「まあ、だからこそ依頼の報酬が信頼だったんだ」


 「なるほど、これは納得だな。しかし、これはギルドの方に渡した方がいいと思うが?」


 「なら、町に帰った時に引き取ってもらってサリカが買い取ると」


 「よし!それでいこう」


 それから健治たちは食事を終えてから、カーク達船乗りたちに改装中の船の操船方法を教えていく。

魔力が動力なのか、割と直ぐに講習は終わったが明日から本格的な訓練に入ることを教えるとやる気に満ちた声で、返事が返ってきた。





 次の日。

 予定していた訓練は順調に終えていく。

カーク達は初めは戸惑っていたが、午後になるとそれも徐々になくなる。

 健治はミケと話したように、町までの実地訓練をすることをサリカに告げると彼女は快諾した。

どうやら、新しい船に乗りたかったようで訓練中は遠慮してたよなのでうれしかったのだろう。



 さらに次の日。


 水と食料を積み込みを終えるとサリカ達を乗せた船は先に出発した。

健治は支援基地を片付けると、重巡洋艦「高雄」に乗り込む。


 「では、出発する。抜錨!!」

 

 「了解!抜錨!」


 汽笛を鳴らして、再び外洋へと進む「高雄」は先に出た木造船「若葉」を追うために主機関は唸りを上げた。



 話が中々進まない。

これから、進むと思います

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