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第15話

 更新が遅くて申し訳ない。


 海賊side


 「どういうことなんだ!なぜ!・・・なぜなんだ!」


 ローブの男は、気が狂ったように叫んでいた。

突然使い魔の反応がなくなったのだ、それも一瞬で。

 自慢げに語った防衛法がなくなったことで自身の身が危うくなったことがより混乱を加速させていた。

男は考えていなかった、使い魔をあっという間に倒した存在がここにやってくるのを。

 しかし、それに気付いた者もいた。


 「おい、レスト」


 「へい、親分」


 「はぁ~~~、その親分はやめろ」


 「へへへ、 すいません。カーク船長」


 親分ことカークと、笑いながら話すのは結成時から付き合いのある副長のレストだ。

互いに海に出てできた焼けた肌と鍛えられた筋肉が2人を生粋の船乗りであることが窺える。

  

 「あの男は気付いているのかわからんが、シーバードの群れを簡単に屠った連中がここに来るようだ。

そこでお前にやってもらうことがある」


 「部下たちと攫ってきてしまった人たちを船に乗せる、ですか?」


 「そうだ、もともと俺たちは義賊として船に乗っていたが俺のミスでこんな依頼を受けちまった。せめて、元の町に返すぐらいはしないとな」


 「船長の、いやカークのせいなんて俺たちは思っていませんよ。・・・では、少しづつ部下と人質を船に乗せます」


 「ああ、洞窟の裏道を使えば人質も安全に移動ができるはずだ」


 物資や牢屋がある洞窟には、船着き場としている場所に繋がる坑道が存在していた。偶然できたもので普段は使っていないためこのことを知っているのは、船長以下一部の人間のみであった。


 「了解です、・・・では」


 レストは直ぐに行動を起こす。

まずは、直属の部下たちにこのことを伝えに行くのだろう。


 「・・・あとは、ここに来る連中に期待するしかない・・・か」


 海岸線に視線をやり、言葉をこぼすカーク船長。

島の方に視線をやるとローブの男はまだ喚いていた。






 健治side


シーバードの襲撃を難なく撃退して、目的地の小島へと先を急ぐ健治たち。

ミケが測量をした結果、もう数時間で目的の海域に到着して小島を視認できるという。


 「サリカ、あと数時間で到着予定だから向こうに移動して、冒険者の先導をしてほしいがいいか?」


 「まあ、構わないが。健治はどうするんだい」


 「俺たちは、上陸支援の艦砲射撃をしたら彼らが船で逃げないように海上で警戒している」


 「そうかい、まあ海の上では私たちがどうこうできないからお任せするよ」


 「島の方は、頼む」


 「任せろ」


 地上戦での指揮を任せると、サリカは頼もしい笑みを浮かべて艦橋を出ていく。

それを後ろから見ていると二等輸送船へとジャンプで乗り移るのが見えた。


 「サリカってすごかったんだだな」


 「そうかもしれないね、今いる冒険者よりもかなり強いから彼女」

 

 「なんで知ってんだ・・・ミケ」


 「はっははは・・・それは、秘密だ」


 それだけを口にすると、ミケは双眼鏡を覗きこみ始める。

これに関して喋る気はないようなので、健治も気にすることをやめた。




 

 翌朝、ついに目的の島に到着した。

 島の大きさは、それほど大きくない大体10㎞ぐらいで中央部には山があるという典型的な小島だ。

海岸には、今回の敵である海賊たちが慌てて何かをしているのが見える。


 「ようやく到着だな。高雄、イマサに連絡。上陸部隊の準備はできているか?」


 「・・・はっ!ただいま確認できました。いつでも、いいとのことです」


 「良し、では作戦を開始する。高雄!右舷砲撃戦!主砲及び高角砲は距離10000で射撃開始!弾種は三式弾!」


 「はっ!距離10000で射撃開始!弾種三式弾!・・・撃ち方始め!」


 準備を終えた10門の主砲と4門の高角砲がそれぞれに火を噴く。

自分たちの常識範囲外からの砲撃に驚く海賊たちだったが本当に驚くのは、この後である。

 彼らの頭上で炸裂した三式弾の弾子が火の玉となって襲いかかっていく。


 「ぎゃあああ」


 「助けてくれ!火が、火が消えない!」


 「くそ!くそ!くそ!こんな話は聞いてないぞ!上のやつ・・・あああ!」


 高雄の主砲から毎分約4発と高角砲から毎分12発の砲弾が、放たれて海岸線にある海賊の住処などを燃やす。

彼らにとっては地獄絵図であろう、しかしこれまでおこなってきたことを鑑みれば仕方ないとも考えられる。


 「そろそろ一時間か、・・・高雄!射撃中止、イマサに打電。上陸戦用意」


 「はっ!」

 

 

 二等輸送艦のイマサは高雄からの指令を受けとり、冒険者のリーダーのサリカに伝える。


 「サリカさん、司令より上陸戦の用意の下命が来ました。そちらの準備はいかがですか?」


 「うむ、こちらはいつでもいいぞ!イマサ」

 

 「わかりました。では、・・・突入します!」


 イマサは主機関のディーゼル機関をフル稼働し、最大船速で島の海岸部に向かう。

高雄の砲撃は止み、冒険者たちを乗せた揚陸艦でもある二等輸送艦の艦首にある前扉の上でサリカが彼らに声をかけた。


 「いいか!我々はこれから町を襲撃した賊を討伐するためにあの島へと上陸をする! あの時の借りを倍にして返そう!奪った財貨や攫らわれた家族・恋人・友人を取り戻し町へ帰るぞ! お前たち準備はいいか!!!」


 「「「「「「おおお~~~」」」」」」


 サリカの声に、乗り込んだ冒険者が鬨の声を上げる。

彼らは、己の武器を掲げてそれに答えた。

 士気は十分のようでサリカは満足そうにうなずく。




 そして、冒険者を乗せた輸送艦は上陸地点の海岸に接岸する。

 

 「サリカさん!前扉、開きます!」


 「行くぞ!総員、抜剣!」


 サリカも自前のレイピアを抜き放ち、輸送艦を飛び下りた。

降りた地点へと逃げてくる海賊を切り伏せて声を上げる。


 「ぐあ!」

 

 「・・・総員、突撃!!」


 「「「「「「おお!」」」」」」


 サリカの号令に浜へと駆け出す冒険者達は、二人一組となり海賊を討伐していく。

艦砲射撃で、体勢と地形を崩されてからの攻勢である余程部下からの信頼があつい指揮官でも厳しいだろう。

 一人また一人と賊は反撃もままならないまま打ち取られていく。

殺気だった男たちの声は、脱出準備をしていたカーク達の所まで聞こえていた。


 「カーク船長、上陸が始まったようだ」


 「ああ、先ほどの爆発音からあまり時間をかけずに・・・すごいな、彼らは」


 「そうだな、最初の攻撃で用意していた防御用の道具がほとんどなくなったようだ。これで彼らの進軍を阻む物はなくなっている。相手にしたくはない相手だ」


 「まったくだな・・・まあ、あの男には、相応し最後だったな」


 一時間前。


 レストは、カークの指示でここに来るはずの討伐軍を見てくるように頼まれていた。

拠点の場所が見渡せる地点であの男たちを見ていると、突然爆音が響き渡る。

 目を凝らすと、沖合から巨大な鉄船が重低音の爆音と共に攻撃をしているのが見えた。


 「・・・なんだ、あれ。あんな船見たこともない。俺たちは一体何と事を構えたんだ?」


 そう呟く間にも、彼らの家屋などが鉄船の攻撃で燃えている。

相手の攻撃は空中で小さく分裂して降り注ぐ、そして地上を焼き払う。

 そんな光景がしばらく続くと、突然攻撃が止んでいることに気が付く。

すると、二隻いた船の内一隻がこちらへと向かってくるのが分かった。


 「ここに上陸するのか?!」


 あの攻撃で終わりのかと思っていたが、終わりではなかった。

だが、少し考えればわかることだった。彼らはここに連れてこられた人質を取り返しに来たのだ、これで終わりのはずがない。


 「これは・・・急いだ方がいいな」


 レストは、足早に離れるとこのことをカークに知らせるために船着き場へと急いだ。






 「それで、どうするんだカーク船長」


 「このまま出港する。彼ら以外に今頼れる人間はいないからな」


 「わかった。・・・野郎ども!船を出すぞ!」


 「「「うす!」」」


 レストの掛け声に、準備を始める部下たちをカークは黙って見つめていた。

ほどなくして彼らの船は動きだす、これが最後の航海になるかは彼ら次第である。




 サリカ達冒険者が、上陸を開始してしばらくたった時。

それは起こった。


 「・・・!!司令、島の反対側から小型船の反応を感知!数は1!西へと移動しています」


 「海賊がまだいたのか?」


 「どうしますか?司令」


 「確認は必要だな、・・・高雄、微速前進!あの船を臨検する」


 「はっ!了解!・・・微速前進」


 「高雄、第2船速」


 「はっ!速力上げ!第2船速」


 高雄は、島から出てきた船に主砲を合わせながら近づいていく。

彼らにとっては恐怖でしかないだろう、自分たちの島を拠点を破壊しつくした武器をこちらに向けているのだから。


 「カーク船長、あの船だ!」


 「あ、あれがか、大きいな。色から見るに鉄か?どうして浮いていられるんだ?」


 「そんなことは、あとで聞けばいい。今は」


 「そうだな、・・・野郎ども!降伏旗を掲げるんだ!」




 「司令、あの船・・・白旗を掲げています。いかがしますか?」


 「・・・ミケ、この世界でもあの旗は降伏の合図なのか?」


 「そうだね、この世界でも同じだね。・・・行くのかい?」


 「もちろんだ。臨検の準備だな、ミケの分体を3人ほど貸してくれないか?」


 「仕方ない、大事に使ってくれよ」


 そう呟くと、ミケの体から3つの光の球が出てくると人の形へとなっていく。

そして。


 「「「にゃ~~~」」」


光がなくなるとそこには3人のネコ娘がいた。

1人目は、茶色のショートでツリ目の娘で3人の中で一番真面目そうなで落ち着いている。

2人目は、マリンブルーでウェーブのかかったロングでしている、慈愛に満ちた表情をしていた。

3人目は、スカイブルーに白のメッシュが入った髪をしている艦内に興味があるのかしきりに視線を動かしてどこか忙しない。

 3人とも身長はミケと同じくらいだが若干違いがあるようだ。


 「おはようございます、司令官。私の名前はリクと言います。どうぞよろしくお願いします」


 「おはようございます、司令。わたしはカイと申します。これからよろしくです~」


 「司令、おはようです。あたいの名前はソラっていいます。どうぞよろしく!」


 「ああ、こちらこそよろしくお願いする。司令の健治だ。これからあの船の臨検に行くからこれに着替えてくれ」


 あらかじめ出しておいた百式機関短銃や日本海軍の陸戦衣などを渡す。

それを受け取った彼女たちはその場で着替えようしたので急いで後ろに振り向く健治であった。


 それから数分後・・・


 「司令官、用意できました」


 「ああ」

 

 確認して振り向くとそこにはきちんと装備を身に纏った3人が立っている。

先ほどまであった緩い雰囲気はなく、戦地に赴く歴戦の兵士のようだった。


 「では行くか。ミケ、艦を頼む。 アーシェも行くぞ」


 「はい」


 健治を含めた5人は高雄に搭載されている内火艇に使い、目標の船へと向かっていく。

そして、降ろされた縄梯子をのぼり船内へと降り立つ。


 「我々は、桜華隊である!この船の責任者は、誰か!」


 この日、後に知らない人はいないほどの活躍を見せるその名前が使われた初めての作戦となった

しかし、この時はまだ一部の人しか知る由はない。












 読んでくれている皆さんに感謝です。

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