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第14話

 ようやく、軍艦による戦闘が起こります。

???side


 健治たちの艦隊が港を出港した頃。

三隻の木造船は拠点としている港に寄港していた。


 「お前ら!奪ってきた荷物をさっさと倉庫へ運び込め! 攫ってきた女・子供は牢屋に入れて繋いでおけよ!」


 「へい!親分!」


 船から積み荷が降ろされていき、町から連れてきた人々は鎖で繋がれ洞窟内にある牢屋へと連れて行かれる。彼女たちの瞳にはすでに光はなく、心を支配しているのはただ、ただ絶望のみであった。

 彼は黙って、それを見ていると後ろから声をかけられる。


 「今日も、大戦果ですね。いやはや私も協力をしたかいがありますよ」


 「・・・ふん!だが、これで王国軍が動くだろうよ。王国内にある貿易港である町を襲ったんだからな」

 

 「大丈夫ですよ!あの島から、この島に来る航路には私の使い魔が巡回しています。船が来たのなら彼らがまずその船に襲いかかりますよ。 そして、使い魔を撃退する時に多くの弓矢を使うので、我々に使う弓矢は少なくなりそこに我々が襲いかかれば簡単に倒せますよ」


 男は笑いながら自慢の防御法を口にした。

余程、自信があるのかこのやり方を自慢げに語っている。


 「さらに!使い魔が襲いかかる地点の海流はこの島に流れているので彼らが放った矢は流れ着いてくるので、それを回収すれば再利用できますよ!・・・はっははは」


 「ちっ!そううまくいくか・・・戦場をなめるなよ」


 愉快そうに笑う男を気に入らない。

あの男は1年ほど前に、今回襲った町とは違う町で初めて会った。

 その時は、金持ちの悪徳商人からたんまりと金を毟り取ったので懐が温かったので久しぶりに娼館にでも行こうと歩いていると、暗い路地から声をかけられる。

 胡散臭さがかなり臭うが、聞いた話はかなりいい話だった。

ある国で、旧型の軍艦が廃船処分となるのでそれを買い取らないかという話である。

しかも、相場の半値以下でっだ。

 だが、その船を見てみると言葉をなくしていく。

そこにあったのはどう見ても旧型ではなく現役クラスの船があった。それに、中を見てみるとどこも破損していないし、積み荷さえもある程度積んであった。

 船員さえいれば直ぐに動かせるぐらいに整備されていもある。

そして、男はある依頼を受けてくれればさらに安くなるし船員も用意すると言われると余計に疑うが、今使っている船は今回の襲撃で損傷してしまったので修理をと考えていた時期でもあったために承諾してしまった。

 そのある依頼と言うのが今回の王国の貿易港襲撃だったのである。

うまい話には裏があるとはよく言うがこの話に手を出さなかった方がよかったと今更ながら思い始めた。

 そのことを考えると苛立ちを覚えてくるのでその場を離れて、部下が宴会の準備をしているはずの場所に歩いていく。

 今日ばかりは、うまい酒を飲んでおきたいからな。






 健治side


 港を出港して数時間後に健治はミケに呼び出されていた。


 「すまないね、健治殿。こんな時に呼んで」


 「いや、構わないが用事はなんだ」


 「・・・この「高雄」の対空装備を近代改装しようと思ってね。今の状態だと少し心もとないしね」


 「そうだな。だが、どうやってだ? 船はもう出発しているからドックには入れられないぞ」


 「何も船体を弄るわけではない。健治殿は私のあとについて部品を召喚・交換してくれれば大丈夫だ」


 「それぐらいなら、いいか」


 「では、作業を開始しよう。まずは・・・対水上・対空用電探を再開発した最新の奴に換装し、主力の対空機関砲はボーフォース40mm機関砲を連装式で配置、副装備の13mm機関銃は25mm機関砲へ換装していく。もちろんすべての機銃に電探連動射撃装置を取り付ける予定だ。 高角砲も連装式に変えるからな・・・それと主砲の方は今回は見送りだな」


 「・・・これを、今から全部やるのか?」


 「もちろん!今夜は寝かさん、覚悟してくれ!」


 ミケは、この上ない笑顔でうなずいてきた。

それにしても・・・終わるのか、これ。

 ・

 ・

 ・

 結論から言えば、終わった。

だが・・・かなり、圧縮した時間が流れたのではないかと今は思う。


 「朝日が、白いな・・・そして、眩しい」


 「ふっ、これくらいで根を上げるとはな。わたしなら・・・あと2日はできる」


 「やめてくれ。それよりも、今は寝かしてくれ」


 「ははは。ではおやすみ健治殿、私は食堂でコーヒーでも飲んでくるよ」


 フラフラしながら健治は、自室にしている艦長室に向かう時にそんな声が後ろから聞こえてくる。

どうやら、ミケにとってこれくらいは大したことがないのかもしれないと考えてしまう。

だが、睡魔に襲われ考えがまとまらないのでベットに急ぐのであった。


 しかし、どうやら敵は時間をあまりくれないようだ。

艦内に突然警報が鳴り響く。


 「司令!大変です!2時方向より多数の機影が!」


 艦長室で仮眠をしていた健治に警報と共に高雄が駆け込んでくる。


 「!!!・・・高雄!直ぐに対空・対水上戦用意!射程に入り次第、迎撃を始めろ!」


 「了解!これより対空戦闘を開始します!司令は艦橋へ急ぎお越しください」


 「わかった」


 健治は、急いで着替えて艦橋へと向かう。

途中、アーシェ達と合流しながら状況を知らせる。


 「主!この警報は」


 「この艦に向かって、空から何かが近づいてくるみたいだ。レリーナは医務室にて待機してくれ、アーシェは俺と一緒に艦橋に向かうぞ」


 「はい!」


 「わかりました、師匠」


 アーシェは健治について行き、レリーナは医務室に向かう。

そして、艦橋に着くと高雄に状況を確認する。


 「高雄!状況を!」


 「はい、敵はあと数分で視認圏内に入ります。また対空・対水上戦闘の準備は完了しております」


 「そうか、なら主砲に三式弾を装填し待機」


 「了解!」


 「アーシェ、双眼鏡で敵を探すぞ!」


 「はい!」


 二人は、双眼鏡で2時方向を見る。

そこに黒い粒が少しづつ近づいてくるのが見えた。


 「あれは、なんだ?」


 「・・・あれは、シーバードかね。群れをなして行動すことが多い鳥の魔物だ、何でも食べる悪食で金属以外がその対象だ」


 「・・・金属以外?」


 「ああ、もし帆船なんかが来たら彼らにしたら山盛りの食事が流れてきているのと同じことだね」


 「人間もか?」


 「いいアクセントに、なるのではないのかい?」


 ミケがにやりと笑うその顔はいたずらが成功したときの子供の笑みを見ているようだった。


 「主、大丈夫ですよね。この船は」


 「大丈夫だ。ほとんどが金属だからな。・・・イマサ!(2等輸送艦103号)、自衛戦闘の準備はできているか?」


 「だ、大丈夫です。頑張ります!」


 「司令!シーバード、距離33000!」


 「主砲、弾種三式弾。距離25000から撃ち方始め!」


 「はっ!」


 しばらくすると、主砲塔から爆炎が上がる。 異世界にて初めての艦砲射撃が開始された。

三式弾がシーバードの近くまで進むと、炸裂し内部の弾子が次々と襲いかかる。

 着弾した鳥たちは羽や胴体などが燃えていく。


 ・・・だが。


 「くそ!もう少し固まってくれればやりやすいんだがな」


幾ら対空用砲弾でも一定の高度で広く展開しているシーバードを根こそぎ葬れるというわけでもなかった。

魔物たちは、いっそう速度を上げて高雄に向かってくる。距離10000を切ると自動照準の対空機関砲と高角砲が攻撃を開始した。異なる重低音が鳴り響き艦隊の空を黒く染めていく。

 砲弾が命中したシーバードは、その体を爆散させて海に落ちた行った。

結局、高雄に近づく前にすべてのシーバードの迎撃を完了することができ健治たちは胸をなでおろす。


 「改修前なら、取りつかれていた可能性があったな」


 「もしくは、艦内に入られることもあるかもしれんな」


 「怖かったです。主」


 初めての対空戦に緊張したのか、彼女に表情は硬く、声も少し震えていた。

そんなアーシェを安心させようとした健治だったが高雄から急報が入る。


 「司令!敵第2波接近!数は先ほどより多いです!」


 「ちっ!引きづき迎撃用意!・・・ミケ、この場を何とかできる兵装はあるか?」


 「・・・試作した砲弾がいくつかある」


 「効果と名前は」

 

 「名前は・・・三式弾改だ!」


 「それは・・・もしかして、あの対空砲弾か?」


 「そうだ、あの砲弾だ」


 「・・・そうか」


 ミケは不敵に微笑み、健治は呆れて帽子を深くかぶる。 


 「第2波、来ます!」


 高雄の報告を聞き、覚悟を決める健治。


 「・・・イマサに、連絡。冒険者たちを艦内へ!高雄、主砲発射用意!弾種三式弾改!」


 「はっ!・・・イマサに・・・連絡完了。主砲発射用意、弾種三式弾改!」


 「各主砲の散布角0・5度づつずらして、距離25000で斉射!」


 「了解!」


魔物の群れが再び接近してくる。

射撃タイミングは高雄に任せ、健治はただ見守っていた。

 そして・・・


 「射ぁ~~~!」 


 健治はアーシェの方を見ると、彼女がまだ双眼鏡を覗いていたことに気付く。

その時、主砲が発射されてしまった。


 「アーシェ!」


 「えっ!きゃあ」


 急いで健治はアーシェに飛びつき、床に押し倒す。

そのすぐ後に、窓から閃光が飛び込んでくる。もしも、双眼鏡を覗いていたら失明していた可能性があるために慌ててしまったのも仕方ない。


 高雄の主砲20・3センチ連装砲5其 10門から放たれる三式弾改。

シーバードの群れに近づくと一斉に炸裂、閃光と共に衝撃と熱波が襲いかかり殲滅していく。

海面に、疎らに落ちる破片が先の第1波より少ないのは三式弾改の威力の効果であろう。 

ミケはこの戦果に満足気の顔をしながら、健治の方に振り返るとそこにはアーシェに覆いかぶさるように倒れている二人の姿があった。







 「危なかった~~~、言わなかったこちらにも非はあるんだが・・・!」


 体を起こそうとすると、両手に何かやわらかい物の感触がする。

確かめようと、少し握ってみると癖になりそうなほどの弾力があった。

 

 「あ、あの・・・主、こういうのは・・・その、夜でしたら」


 「えっ、・・・あっす、すまない」


 どうやら、思いっきり彼女のエベレストを掴んでしまっていたらしく。

アーシェの顔が真っ赤に染まっており、ここが夜間の寝室なら理性が崩壊していそうになるが。


 「仲がいいのはよいことだが、今は昼間で戦闘中だ。自重してくれると助かるのだがな、健治殿」


 あきれ顔のミケと少し恥ずかしそうにしている高雄の二人を見て、健治たちは慌てて立ち上がる。

この時、アーシェが少し残念そうにしていたことは見なかったことにした方がいいだろう。


 「魔物は、どうなった?」


 「きれいに消し飛んだよ。現在、我々に敵対する反応はない」


 「そうか・・・では、面舵20!進路戻せ!」


 「了解!面舵20!進路戻します」


 艦隊は進路を戻して、予定のコースを進んで行く。

目的の小島までは、あと少しである。


 





 軍艦による対空戦を海戦に入ると思います。

期待していた人にはすいません。

 読んでくれている人がいて、本当に感謝です。これからもブックマークや感想をお願いします。

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