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第1話

よろしくお願いします。

「・・・ここは?」


 立花 健治は目を少しずつ開けていくが、見えてくるのは見慣れた景色ではなく。

ただ・・・真っ白な空間が広がっていた。

体を起こしてから振り返ってみても、辺りを見回してみても何もない。

おそらく、地球上には存在しないだろう空間が自分の目の前に広がっているのを感じ取れた。


「ふむ、ようやくおきたか・・・」


 突然後ろの方から声がした。 

先ほど確認したはずの方向から、さっき見たときには誰もいなかったはず!

 慌てて振り返るとそこには、落ち着いた色合いの着物を着た一人の少女が立っているのがみえた。

扇子で口元を隠しつつ、まるでこちらを値踏みすらかのように鋭い視線に落ち着かなくなる。


 「・・・しかし、お主も災難じゃったのぉ」

 「・・・?」


 彼女が何を言っているのか、理解出来ないでいると。


 「・・・まさかお主、気が付いておらぬのか?」

 「いったい何のことだ?」


 相変わらず扇子で口元は見えないが、若干瞳が大きく見開いたと気が付いたが。

彼女の次の言葉に、そんなことがどうでもよくなった。


 「お主が、・・・すでに死んでいることに、な」




 「・・・そうか。ネコを助けるためにトラックに轢かれて・・・か」


 自分の最後の瞬間の記憶がやけに曖昧なことに気が付き、大きく息を吐く。

もしも、はっきりと覚えていたらきっと発狂していたかもしれない。

 だがここで、新たな?謎が出てくる。


 「なら、俺が死んだのならここはどこで?あなたは誰だ?」


 自分が死んだのであれば、ここは死後の世界になるはず。


 「ここか、ここはのう。現世と黄泉の狭間の世界じゃよ。 そして、儂はお主のいた世界にいる神の一人じゃ」


 と、扇子をこちらに向けながら微笑む女神。

その表情は、幼子のような無邪気さもあるがその奥には確かな威厳が窺える。

 扇子を再び口元に戻すと、少し苦い顔をして呟く。


「そして、お主の死んだ訳はな・・・・・・儂のせいじゃ」

  


 話をまとめると、もともと今回の事故で死ぬことはなかった。 いや、そもそも事故自体が起きるはずなかったのだが結果的に、俺が死んでしまったらしい。

それに、今回の事故は神の眷属である一体が好奇心に任せて行動したため車道に飛び出してしまった。

 そこへ健治が眷属を助けるために車道へ駈け出す、トラックがネコに気が付き急ブレーキをかけるが間に合わない。

事故に遭った健治の腕の中にいた眷属は、慌てて神界へと帰って報告をしてきた。

 助け出された眷属からそのことを知った女神は、急いで俺の魂を回収して目が覚めるのをまっていた。


 「なので、お主はこれから異世界に転生をさせようと思う。しかし、現世とは違い、剣と魔法の世界になるがよいか?」


 社会に出て平凡な人生を送ってきた健治であるが、人生を変えるきっかけが欲しいと思っていた矢先にこれである。

きっかけがやや大きい過ぎることに苦笑するがいい機会だと感じていた。


 「それと、今のままでは危険が大きいのでお主に能力を付加しようと思う」

 「儂からは、異世界言語に身体強化、精神強化を。 あと四つほどはこの中からお主が決めるがよい」


 女神は一冊のカタログを渡してくる。

この中から選べというのだろうが、とにかく重い!ページ数もやたら多い。

こころが折れそうになるが我慢してページを捲る。


「能力はこれらにします」




約1時間いや数時間かけて選んだものは。

・兵器と兵士を召喚できる。

・召喚した兵器・兵士を維持する施設・軍需品・資源・後方人員を召喚できる。

・召喚した兵器・兵士を完璧に使える。

・怪我や病気を完治できる能力または道具

 この能力にしたのは健治が現世ではミリオタであったからであった。

魔法を選んでもよかったが好きに選べるのでこちらにする。

 選んだ能力を書いた紙を女神に渡す。

渡された紙を読んでいく女神は視線のみを上げて質問をする。


 「召喚できる兵器は、一国のみかのう?それとも全世界か?」

 「?どんな違いがあるんですか?」

 「一国のみなら2017年までのが召喚できるが、全世界だと・・・1800年代くらいになるのう。まあ、能力のレベルを上げればマシになるがのう・・・」

 「それは・・・きついな。では、第二次大戦クラスなら何か国ぐらいで?」

 「そうじゃ・・・のう。2ヵいや3ヵ国ぐらいじゃ」

 「では、日本・ドイツと・・・アメリカでお願いします」


 少し考えて使用する国を決めた。


 「わかった。あとな。回復用の能力は魔道具という形でいいとして、問題は兵士の召喚じゃな。 上のほうに話をまわして相談すので少し時間がかかるのう」

 「具体的にはどのくらいですか?」

 「さての。そんなに時間はかからないと思うが・・・こればかりはな」

 「わかりました」


 取りあえず自分の要望がかなったので安堵する。


 「では、これよりお主をかの世界に送るとしよう」


 持っていた扇子で、地面?を指し示すとそこには魔法陣は広がる。


 「そこの中央に移動してくれんか?」


 健治は言うとうりに、陣の真ん中の移動すると光が強くなっていく。


 「さて・・・?」


 女神は、視線を右に移すと何かと言葉を交わしている。

やがて、話し終わったのかため息を吐き視線をもどした。


 「健治殿、儂の眷属がお主に着いていくと言って聞かんので、連れってくれんかの?一応技術者として役に立つと思うが」


 「かまいませんが・・・いいのですか?」


 「かまわん、これのことは自らの意思でのこと違反はない」


 少しの寂しさを滲ませるがそれも一瞬だった。


 「ではな。健治殿・・・良き人生をな」


 その言葉を最後に健治は光の中に飲み込まれた。






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