表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
氷魔法師、氷浦真の日常  作者:
三好玲央奈(イギリス名:アリス・フィリア)
18/46

演技勝負


三好から勝負を申し込まれた僕は、彼女の大声のせいで部員である女子生徒達がざわざわと騒ぎだしてかなり目立っていて、正直どうしたらいいのか全く分からなかった。


 すると、それを聞きつけてやって来た部長が三好の元へとやって来る。

 「ちょっとアリス、これはいったいどういうことかしら?」

 「っ!?くっ、胡桃…これは…」

 「勝負しなさいって聞こえましたけど、それは決闘の申込みかしら?

  忘れたの?星羅は争いや懸け事による魔法戦闘を禁止していることを。

  しかも貴方は校外で三件もやらかして、それでクラス替えになっている

  のよ。これ以上やらかすと退学になるかもしれないわ」

 

 桜子の場合は、あくまで自衛としても含まれていて自分のためにやってい

 たわけではないので該当しない。つまり、三好はそれに引っかかるような

 何かをしてしまって軽い処分を受けたということになる。

 確かに見た目は外人だし、気が強いし、怒りっぽい性格からして相手から

 喧嘩を売られれば、恐らく乗ってしまうだろう。

 

 それにしても、三件は多すぎる…。

 

 「でも、真が私の名前を侮辱して…「どんな理由があろうともダメです!」

 「ひぃいいっ!?」


 うわぁ~怒られてる。と僕は二人の様子を黙って聞いていた。

 人間は誰しも性格が合わないからという理由で苦手意識を持ったり、嫌ったり

 と数人ほどの人間を拒否ることがあるが、彼女たちはそうではない気がする。

 

 三好は怒られてはいるが、嫌なら嫌だとはっきり言えるし反抗したいなら

 反抗するはず。しかし、見ての通りに部長に言われ放題というかむしろしっ

 かり彼女の話を聞いて手を出してもいない。


 恐らく部長と部員ではなく、友人として接しているのかもしれない。

 一年から入っているのなら出会ってから三年となり、それなりの信頼関係は

 できているはずだから、もしかしたら三好が一番心を許している人なのかも

 しれない。


 僕は勝手ながらに想像していると、話はこういう流れになっていた。


 「それだったら、演技で勝負してみてはどうかしら?」

 「えっ、演技?」

 

 突然、演技という言葉が出てきたので僕は桜子に目で「演技って?」と

 聞いてみる。だが、桜子にも意味は分かっていないようで首を左右に振る。


 「ルールは簡単よ。フルーレを使用して魔法を発動させます」と部長は

 フルーレと呼ばれる武器を部員から受け取ってそれを僕に渡した。


 「難しく考えず、普通に自分の魔法でどれだけの観客を喜ばせるかって

 ことだけを考えなさい。これなら争っては見えないでしょ?」

 

 「…そうね。真、これで勝負よ!」

 「よく分からないけど、まぁ…三好がそれでいいならやってあげてもいいよ」

 「相変わらずむかつく奴…」

 「それはお互い様でしょ?」


 「真さん、頑張ってください」

 「あぁ、うん」

 「ちょっと桜子、私は応援してくれないの!?」

 「あらっ、ごめんなさい。アリスさんも頑張ってくださいね」

 「っ!?…あっ、ありがとう」


 自分で言っておきながら照れてどうするんだよ?

 だが、これを言うとまたしてもうるさいので言葉には出さなかった。


 

 

  

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ