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氷魔法師、氷浦真の日常  作者:
まさかの女子高へ?
11/46

星羅魔法女学院

 

 「あぁ…疲れた」

 「真さん、大丈夫ですか?」

 「まさか転入草々あんな形で紹介されるなんて…思っても見なかったからさ」

  

 四月に入り、僕達は無事に星羅魔法女学院に転入することが出来た。

 どうして僕がこんなことを言っているかというと、それは約一時間前のこと。


 転入生ということで、桜子と一緒にまず職員室へと足を運んだ。

 星羅の女子生徒は男子の僕を見ると一瞬驚いていたが、すぐに冷静を取り戻し

 ご丁寧にお辞儀をして去って行った。


 桜子が担任教師の女性を呼び出すと、すぐに別の場所へと案内される。

 職員室からだいぶ離れた場所に理事長室へとやって来て、担任が先に入って

 から僕と桜子も続きいて中へと入った。


 理事長というのは男性というイメージがあったが、実際は見た目40代ぐらい

 の女性だった。それから少し話をした後に担任教師が「理事長、そろそろお

 時間です」と声をかけられると「分かりました。では行きましょうか」と

 席を立ち、僕達は理事長室を後にしたのだった。


 やって来たのは、講堂と呼ばれる(一般だと体育館ともされる)場所。

 中には既に生徒がいるようで少しざわざわとしている。


 「皆さん、理事長先生がご到着されましたのでお静かにお願いいたします」と

 女性教師がマイクを持ち、全校生徒にそう告げると先程までのざわめきが

 嘘かのようにシーンと静まり返った。


 「ありがとうございます。では、これより理事長先生から直々に皆さんにお知らせがありますので、くれぐれも静かにお聞きくださいますようお願いいたします。理事長先生、壇上へお上がりください」と女性教師が理事長に向かって合図

を送ると、理事長は堂々と前へと進み壇上へと上がった。


 「一同、起立!…礼!」

 「理事長先生、おはようございます」と全校生徒が声を合わせて挨拶をする。

 こういうのは普通の学校と同じ。僕達がいる場所からでは良く見えていないが

 「着席!」と女性教師の合図で全校生徒が一斉に座席へと座っていることから

 、どうやら座席が設置されているらしい。

 

 まるでオーケストラや舞台を見に行っているような感じだ。

 

 「全校生徒の皆様、おはようございます。本日皆様に、わたくしの方からお知らせしたいことがございます」

 

 理事長が僕達の方に顔を向き、担任教師に合図を出した。

 それを確認し「ではこちらへどうぞ」と僕達を理事長の元へと案内するため

 自分から先頭に立って誘導する。


 すると、僕達を見た生徒は少しざわつきはじめた。

 無理もない。男子がいるなんてどう考えてもおかしいし…。


 担任教師の指示で、理事長の横へと桜子と一緒に並んでいると

 理事長が全校生徒に向かって「皆様、お静かに」と声をかける。

 

 またシーンと静まり返った。

 

 「驚かれた方が多いと思われますが、落ち着いてお静かにお聞きくださいね?

 こちら、氷浦桜子ひうらさくらこさんは二年の夏頃まで我が星羅魔法女学

 院に通っていた生徒さんです。訳があって突然の転入を余儀なくされましたが

 、再び星羅に戻ってきてくださいました」

 

 「そして。多くの方が気にしていらっしゃる彼女の隣にいるお方は、この度

 星羅魔法女学院で一年間皆様と共に学ぶ氷浦真さん(ひうらまこと)さんです

 。ご存じの方も多いかもしれませんが、魔法学校で唯一女子高なのはこの星羅

 のみです。少子化という中、共学の声を受け続けましたが、反対の声も出てい

 たために星羅は現在にかけて女子高を貫いてきたのです。しかし、今はよくて

 も星羅を巣立った際には、大学生・社会人になれば皆様は男性とも接する機会が増えてきます。卒業生にアンケート調査した結果、「最初の頃、男性とのコミュニケーションがうまく取れなかった」「男性と目が合わせられない」「男性に告白されたものの、どうお返事したらいいのかとすぐに対応できなかった」等と

おっしゃられる方が多数おりました」



 いや、突然告白されたらどう対応したらいいか分からないのは当たり前で

 しょ?と僕は思った。


 「というわけで、三年生の皆様は彼と接する機会が多くあると思いますので

 くれぐれも失礼のないようにお願いしますね?一年間という短い間ではあり

 ますが、桜子さん共々仲良くしてあげてください」


 

 と、理事長の話は終わったのであった。

 

 「理事長先生、お疲れ様でした」と担任教師が理事長に言うと

 「ありがとう」と軽く返事をしてささっと退場していく。

 

 すると、「では、教室に行きましょう」と担任教師に言われて僕達も続いて

 退場したのであった。

 


 「私も少し疲れました」

 「あんたはまだいいでしょ?僕、かなり目立ってたし…」

 また騒がれるのかなぁ~?と喋っていると、担任教師が足を止めた。


 「こちらが、桜子さんと真さんの教室です。少しお待ちください」と

 先に教室の中へと入ると…


 「皆様、席についてください」と大きな声で生徒に言う。

 それと共に生徒が席へとすぐさま着席した。

 

 「どうぞ、お入りください」と担任教師に言われ、僕と桜子は教室へと

 入って行くとまたざわざわと女子が騒ぎ始めた。


 やっぱり、こうなるよな…。


 「お静かに。先程、理事長先生がお話になった氷浦桜子さんと氷浦真さんで

 す。この一年間皆様と同じ教室で勉学を学んでいただきます。くれぐれも

 失礼のないようにお願いしますね?」

 

 さっきから、失礼のないようにってなんなのだろう?

 僕はずっと気になっていた。


 「では、お二人共。空いているお席にお座りください」

 「はい。真さん、行きましょう」と桜子が僕の腕を引っ張って席へと誘導

 する。

 

 こんなことして怒られないのかと思っていたが、全く持って怒られなかった。

 

 

 

 

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