サーモグラフィーカメラ
ベンは人殺しが好きだといったオリビアを思わず凝視した。
ツインテールの茶髪と青い目。小柄で細身。こんな普通の子がそんな事を言うとは。
いや、しかしサーモグラフィーカメラには映らなかった。カメラが壊れたのか、この子がおかしいのか。
あれこれ考えるも、結局推測が一つ浮かんだだけ。
サーモグラフィーは赤外線で物体の表面温度分布を画像化したものだという。
映らないということは、オリビアに体温が存在しないと考えられる。
オリビアに触ってみるか。
「あのさ、少しだけでいいから、手を触らせてくれないかな?」
「なんでよ、気色悪い」
予想通りの反応。しかし、理由をつけて頼んだ。
「サーモグラフィーカメラが壊れているみたいなんだ。その確認で」
最後の方は声が小さくしぼんだ。断られると思ったから。しかし。
「いいわ。三秒だけね。それ以上触ったら殺す」
かなり危ないが、ベンは許可をもらえた。
では…と遠慮がちにオリビアの手に触れた。
あたたかい。
やはりカメラがおかしい。壊れているのだ。
オリビアはベンの手をはねのけ、触られた所をさすっている。
ベンが黙っていると、オリビアはベンの顔を覗き込んだ。