刀語り
「これは『刀』といって、日本という国の剣…とは少し違うけど、剣のようなものなんだ。欧米の剣より丈夫で殺傷性があるらしい」
「どうやって知ったの?」
「動画サイトで、剣と刀の強度を比べた動画を見つけたんだ。結果、刀の方が刃こぼれしにくかった。人を殺すならこれだ!と思って今まで使ってきたよ」
目をキラキラされて、少女は聞き入っている。
だけど、これははっきりさせておこう。と、少年は打ち明ける。
「ごめん、嘘ついた」
「はへ?」
「見栄はって弾丸を斬ったとか言ったけど、たまたま当たっただけで、運が悪ければ死んでた。だから、もう一回斬れと言われた時は焦ったよ」
少女は残念そうに顔を曇らせた。しかしそれは一瞬のことで、無表情で言った。
「そうよね。さすがに無理でしょうね。信じちゃって、あたし馬鹿みたいだわ」
馬鹿みたいだと言っておきながら、その声に感情というものが感じられなかった。
少年はほっと胸を撫で下ろす。しかし、少女には少し悪いことをしたという罪悪感があるので、教える。
「日本には弾丸を斬れる人がいたみたいだよ」
「そうなの?」
少女はまた目をキラキラさせた。
よし、なんかいい感じだ。今なら名乗ってもらえる気がする。まずは自分から名乗らねばならないが。
少年は、少女に名を明かすことにした。
我が国、登場!