森に引きこもる
僕は里親の家で暮らすことになった。
里親といっても夫婦じゃなくて、男一人。
その人は戦場カメラマンでしょっちゅう危険な目にあっていて身体中傷だらけだった。
だけど僕には優しくて本当の親のように愛してくれた。さらには給料がいいもんだからなんでも買ってくれた。
だが充実した日々は五年しか続かなかった。
里親はテロに巻き込まれて死んだ。かなりの遺産を僕に残して。
僕はそこでやっと気づいた。僕と関わった者はことごとく死んでいく。
僕は死神なんだって。
人と関わっちゃいけないことをやっと知った。
そこで遺産の一部の、森の中にある別荘に移り住んだ。畑を作って野菜を植え、小屋で鶏を飼った。野菜と卵だけを食べて過ごした。
もともと少食の僕はさらに少食になって痩せ細った。でもデメリットもないしそのままでいた。
そんなふうにして人を避けて暮らしていた。だけど人というのは来てしまうものなんだ。
ある日、少女がパジャマで森に迷い込んで僕の家にたどり着いた。妹が生きていたら同じくらいの歳の子が。
冬だった。耐えられないほど寒いというわけではないが、暖炉を一日中燃やさなければならなかった。




