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壊れたアンドロイドは最後に虹を見る  作者: アルーエット
24/35

仕組み

「あたしは…人造人間アンドロイド…?」

ベンはうなずいた。

「そんな…そんなわけ…だって普通の人間と違うところなんか」

「あるよ。例えば、体。戦闘用アンドロイドは体もまるまる人間そのものだった。でも青い手帳を見るに、君は人間の皮膚とは少し違う物質で体を覆っていて、しかも微弱な電気を帯びている。その電気がサーモグラフィーを狂わせたんで、カメラには君はうつらなかった。触っても暖かいのは、電気が肌に刺激を与えるから」

「じゃあ、あたしにアンドロイドとしての記憶がないのは?」

「君のアンドロイドとしての全ては青い手帳に書いてある。けど、記憶を失ったことは書いてない。多分、人類を焼いた光線の衝撃で失ったんだろう。これは何の確証もない俺の考えだけども」

オリビアはうつむいた。人工の髪がさらさらと揺れる。

「博士は君を愛してた。君が生き残れるように、光線が効かない体を作り、さらに様々なプログラムを施した。例えば…」

『オリビアに害をなすものはオリビア自らの手によって抹殺される。その際オリビアに罪の意識が芽生えないように、感情プログラムを制限した。そのせいで「考える」ことはあまりできなくなったが、「思う」ことは可能ではある。そして、表向きは「殺人を厭わない残酷な性格」となっている。感情プログラムに関して記すものといえば、政府の注文で「攻撃的な性格」になっている。初対面の人間には攻撃的だ。オリビアはよくしてくれる者だけに、心を開く。』

「……」

オリビアは相変わらずうつむいたまま。

彼女には自覚があった。

出会い頭、ベンを殺そうと思ったのが、今ではすっかり友達のように感じている。

ベンは気難しい顔で告げた。

「これが君の真実だ。オリビア」

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