表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
壊れたアンドロイドは最後に虹を見る  作者: アルーエット
16/35

サンタクロースからの贈り物

『十二月二十四日 カレンはひどく落ち込んでいた。その理由をさりげなく尋ねてみると、カレンは言った。「私は悪い子だからサンタクロースは来ないの」そして泣き出して、虐待の恐怖に襲われていた。

私もそうだった。「お前のように悪い人間にサンタクロースは訪れない」プレゼントの代わりに折檻の雨が降り注いだものだった。

カレン、君はとても良い子だ。サンタクロースは絶対に来る。絶対に。』

『十二月二十五日 病室を訪れた時、カレンは泣いていた。その手にサンタクロースからのプレゼントを持って。嬉しいのかと尋ねると、違った。「サンタクロースは意地悪だわ。わざと間違ってプレゼントを置いていったのだわ」

私はもちろん否定した。君が良い子だからプレゼントがあるのだと繰り返して言った。7回目にようやく認めてくれた。信じてはいなかったけれども。しかしよくプレゼントを見てごらん。何が欲しいかと聞く私に、何もいらないと言い張る君は、雪の降る窓の外に目を向けていた。恵まれた子供たちがゲームを欲しがる中でスノードームを貰うのは君くらいのものだろう。

カレンはサンタクロースが自分のために来たことを認めてからスノードームを気に入ったようだ。私がクリスマスプレゼントとして渡したスケッチブックと色鉛筆で、スノードームを描いているのだから』

そして日付けは飛んで。

『一月十五日 カレンが正式に私の養子となった。カレンとの歳の差を考えれば孫と祖父のようなものだが。カレンにそれを告げると泣いて喜んでくれた。』

養子にまでしたのか。

ベンはさすがに驚いた。この半年でカレンにどれほど魅せられたかがよく分かる出来事だった。

カレンはもしかすると改名したかもしれない。父となった書き手は毎日名前を呼ぶわけだから「カレン」の一言でいちいち虐待の記憶を呼び覚ますわけにはいかないだろう。

改名…例えば、「オリビア」とか。

などとベンは推測してみる。それならカレンはオリビアとして生きていることになる。少し救われる。

その後の手記には病院を移ったことや、親子としてのふれあいが記されていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ