面接試験
短いです。
「うう……腹が痛い……」
此処は面接試験会場の待機所、まあただの教室に椅子を並べただけの場所。
秋本博美は緊張で青い顔をして呟いた。
「(いや、痛いんでなく、気持ちが悪い……はらわたが左右ひっくり返ったようだ……)」
黒板の上にある時計を見上げると、前の受験生が隣の教室に消えてからそろそろ5分経つことに博美は気が付いた。これまで皆5分程度で出てきたことを考えれば、直にでも博美の番になる。
「ガチャ」
突然ドアが開き、学生服を着た受験生が中に向かって一礼して出てきた。
ドアを閉めると、生徒はドアのそばに居る案内係の在校生に何か声を掛けられ、そのまま歩いていった。
「受験番号と名前は?」
受験生が行ったのを見届けると案内係の生徒は博美に向かって声を掛けた。
「1024番、秋本博美です」
緊張しながらもしっかり答える
「はい、間違いありません。どうぞ中に入ってください」
いざとなると腹の据わる性格の博美は軽く会釈をしてドアに手を掛けた。
さっきまでの腹痛は何処かに消えてしまっていた。
「ガチャ」
やはり5分ほどして博美が出てくると、案内係の生徒が近寄り声を掛けてきた。
「ご苦労様でした。一階の昇降口前に係りが居ますので、面接の終わったことを言ってお帰りください」
「分かりました。ありがとうございました」
簡単にこれからの手続きを聞いて、博美は一礼し「ホッ」と周りを見渡した。
見るとこれから面接を受ける受験生がずらっと廊下に並んでいる。
「(こんなに沢山受けるんだ……)」
「(あ~あ、どうしてもっと気の利いた返答が出来なかったんだろう……)」
階段を一階に下りながら博美はさっきの面接の事を考え、自信を無くしていた。
教えられた通り昇降口で係りの生徒に面接の終わったことを告げ外に出る
「寒い」
南国と言われる此処でも流石に1月下旬では気温が10度程度だった。
「(めんどうだな)」
面接試験が終わったら学校に顔を出せと言われたことを思い出し、しぶしぶバス停まで歩く。
直線距離なら20分もあれば行けるのに、直通バスが無いため、わざわざ街中のバスターミナルで乗り換える必要があり、待ち合わせ時間も入れれば1時間は掛かってしまう。
「(もし受かったら寮生活か……)」
工業高等専門学校、通称高専は2年生までは全寮制となっていた。
なんか中途半端ですみません。