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ファミレスを出ると、雨はあがっていた。
駅の改札に向かいながら、カズホはナオに訊いた。
「水嶋。運命って信じるか?」
「運命?」
「ああ、今日だって、会えない可能性の方が高かっただろう。でも、ちゃんと水嶋と会えた。やっぱり運命の赤い糸ってあるのかな?」
「……まだ、分からないです」
「そうだな。……なんか俺には似合わない乙女チックなこと言っちゃったなあ。我ながらちょっと照れるな」
「うふふ」
改札口に着くと、二人は足を止めて自然に見つめ合った。
「水嶋。今日は本当にありがとう。今日の埋め合わせは必ずするよ」
「えっ、そんな、……良いですよ」
「でも、水嶋に迷惑掛けたからなあ。何かお返しをしないと俺の気が済まないし」
「……」
「何でも良いから言ってくれよ。なんだってするぜ」
「でも…………。あっ」
「んっ、なんか思い付いたのか。なんだ?」
「あ、あの、……その、それじゃ今度は、私の誕生日に、また二人で会ってもらえますか?」
「水嶋の誕生日っていつだ?」
「三月なんですけど」
「まだ、だいぶ先じゃん。でも約束するよ」
「本当ですか?」
「ああ」
「ありがとう。……それじゃあ帰りますね」
「ああ、気を付けて」
「さよなら」
ナオは、改札を入り、振り返って胸の前で小さく手を振った。
カズホは、ニコニコしながら、顔の横で手を振ってくれた。
ナオは、振り返りホームに上る階段の手前まで行って、再び改札口の方に振り向くと、また、カズホが手を振ってくれた。
ナオも、今度は顔の横で大きく手を振った。




