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ドール―迷子の音符たち―  作者: 粟吹一夢
第四章 交差する想い
34/73

02

 次の日の昼休み。

 二年五組の教室では、レナが同級生の女生徒達と一緒にお弁当を食べていた。

 男子生徒からは「クイーン」と呼ばれ、学園一の人気を誇るレナであったが、女生徒達にも人気があり、レナの周りにはいつも何人かの女生徒が集まっていた。

「レナちゃんって、そのお弁当、自分で作って来ているんでしょう?」

「えっ、どうして知っているの?」

「レナちゃんと一年生の時、同級生だった子に聞いたの。でも、すごいね」

「両親とも仕事しているから仕方なくね。それに冷凍食品とか余り物を詰めただけだよ」

「でも、その卵焼き、美味おいしそう」

「そっちのウインナーも美味しそう。交換しようか?」

 レナがそう言った途端、おかずの交換合戦が始まった。みんな、レナのお弁当のおかずを狙っていたのだ。合戦終了後、レナの弁当箱には、おかずが山盛りになっていた。

「いただきます。――うん、美味しい。あ~、これも美味しいじゃない」

 レナは、みんなからもらった山盛りのおかずをペロリと平らげてしまった。

 日本人形のように清楚かつ華やかな容姿であるにもかかわらず、男性的といっても良いくらいに、さっぱりとして飾り気のない性格が、女生徒達にも、まるで宝塚のトップスターのような人気をもたらしていたのだろう。

 そんな時、ふいに同級生から伽羅きゃらの話が出た。

「そういえばさ、軽音楽部の伽羅から、ボーカルとドラムが脱退したらしいよ」

「えっ、本当?」

 初耳だったレナは驚いた。

「ドラムの東田君がいる四組の友達から聞いたから確かだと思うけど」

「そ、そうなの」

「これから、武田君と佐々木君だけで活動していけるのかな?」

「そ、そうね」

 レナも、いつかはそうなるだろうと、新入生歓迎ライブを見た時に感じていた。

(マコトとカズホは、どうするつもりなんだろう?)

 二人には、引き続き軽音楽部で活動してもらいたいとレナは思っていた。――自分が復帰することができる時までは。

(マコトとカズホと話がしたい)

 レナは、思わず北岡の方を見た。北岡は、一足先に昼食を済ませ、自分の席で参考書を読んでいた。

 レナの視線を感じたのか、北岡が目を上げたため、丁度、北岡と目が合ったレナは、反射的にニコッと笑いかけた。北岡がメロメロになったことは言うまでもなかった。

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