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ドール―迷子の音符たち―  作者: 粟吹一夢
第三章 大事な友達
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05

 ナオは、小さい頃から女の子同士で遊ぶことが多く、運動が苦手なこともあって、男の子達と一緒に遊ぶことはほとんどなかった。

 ナオの頭の中で呪文がささやかれるようになった小学四年生以降になると、積極的に男の子を避けるようになり、男の子と話をすることすらしなくなっていた。

 今でも、学校の行事や日直などで必要に迫られるとき以外は、同じクラスの男の子達と話をすることはほとんどなかった。そして、日直などの「事務的」な話をする時は何でもないのに、男の子と自由に話をするときには、変な緊張感に体が支配され、素直な自分をさらけ出して話をすることができなかった。

 しかし、唯一、カズホとは自然に話すことができた。どうしてなのか、ナオは、いつも不思議に思っていた。

 本当は、他の男の子とも話すことに慣れていないだけで、きっかけさえあればカズホと同じように話すことができたのかも知れなかった。

 カズホとは、お互いに好きなジャズの話がきっかけになった。そして、その後は音楽以外のことでも話ができるようになった。しかし、他の男の子達とは、そのきっかけとなる話題がなかった。ナオとカズホが仲良くなったことは、偶然と必然が絡み合った結果だったのかも知れなかった。

 しかし、カズホと自然に話ができるようになったとはいえ、相変わらず、ナオは呪文に支配され、男の子と仲良くなることを避けていた。と言うより恐れていたという方が正確だろう。その恐れが男の子と話をする際の変な緊張感となっていた。

 カズホとドールで話している時も、時折、呪文が頭の中に広がってきて、カズホとこれ以上親密になることを恐れた。

 しかし、一方で、ナオは、ドールでカズホと話すことが楽しくて、もっと沢山の話をしたかった。ナオは、自分のこの矛盾する気持ちを説明することができなかった。

 ナオは、自分では気づいていなかったが、この頃には既に、ナオの心の中にはカズホに対する特別な感情が芽生えていたのだ。

 そして呪文は、少しずつではあるが、その効果が弱まりつつあった。

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