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丘陵のさき 世界の先Ⅱ  作者: 玲於奈
8/9

空中戦

なし

サイケの達人 ジョン

彼は悩んでいた

自分が純の導火線に火をつけたのではないか

そう考えていた

パソコンに集う住人と共に

必死に情報を集める

地取りで固めるのが、べーカー探偵団としたら

こちらはさながら空中戦

命がかかっていると

住人に事情を説明し

探すための方法は各自にゆだねた

あるものは

グラスゴーロンドン間の航空会社にハッキング

乗客者名簿を調べる者

あるものは、コーチと呼ばれる高速バスにかかる

そして、ロンドン行き列車

さらには、市内に設置した監視カメラにこれまた

ハッキング

特に、バスセンター、空港周辺の映像を細かく

洗う

しかし、いっこうに何もでず

純の消息はまったくつかめない


ジョンは逐一状況を学長に報告するも

学長からの報告も思わしくないようだ

顔がくもる

「ものども、まだあきらめんな」

「俺たち半端物の力を今こそ

 みせてやろうぞ」

大声ではないが

氣の入った声で住人を鼓舞する


そして、深夜もおしつまった

23時 それはノイズとともに

やってきた


「グラスゴー管内警察に入電

 ロッホローモンドで

 東洋人男性と思われる人物

 入水自殺」


入水自殺の第一報から

30分後

再び警察無線が入る


「救急車 現着

 20代前半 男性 東洋人 

 意識不明 流血なし

 救急

 そのまま ビクトリアロイヤル

 ホスピタルに搬送」


助かれ、その警察無線を

傍受しながら ジョンは思った

住人も一人も声をださない

固唾をのむ そして時間がながれる


同時刻


もう一人

警察無線を聞いている者がいた


入電にぴくりともせず

しかし

無線が終わるや否や

新聞をがばっとはぐや

起き出すと

すごい勢いで

あちこちに電話をかけ始めた


そう

純をヒッチハイクした

警官ジョージ


神は、純を見捨てず

彼に味方した瞬間だった。



なし

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