不覚
「丘陵のさき 世界の先」 第二章になります。
まだまだ破天荒な吉岡 純を応援ください。
乳白色の霧が辺りをつつむ。目前の山際が赤い。
静かに起きあがれば、寝ころんでいた草むらはしっとりぬれていた。
服もなんだかしめっぽい。
なぜ、私はここにいるのだろう。
そして、氣がつけば、ここにいた。
そうか。
痛む頭をおさえながら思い出す。
茶色の液体を一氣に飲んでこのありさま。
まさかの、山で一晩を過ごしてしまった。
しかし、一つ間違えば凍え死。
生きてて本当によかった。
起きあがってみれば、草はらの向こうは何もない。
腰を引き氣味におそるおそる近づいていく。
やおら突然立ち上がり、衝動的に飛び降りようとした。
いや、飛び降りるふり。
いったい何をしているのか自分でもわからない。
そんな自分に笑ってしまった。
なぜ、笑う。
一人崖際で死ぬふりをしながら、
崖沿いの葉に目がいった。見たこともないない色。
私はここに、何をしにきたのだろう。
頭をうったのか、ひどい二日酔いか、思い出せない。
全くわからない。
景色は、切り立った崖、断崖の絶壁。そして不思議な色。
私は死のうとしていたのだろうか。
頭の働きがにぶくなぜかわからない。ますます思い出せない。
まあ、もとの道をもどろう。
そう思って草はらを時々すべりながらのぼっていく。
草はしめっていた。靴がじわじわとぬれていった。
靴にぬれたいやな感覚が出た頃、アスファルトの黒い道に出た。
感覚的に右の方向に歩いていく。
私がいた街を目指して。
なし




