第一章 選帝の都は、曖昧な輪の内側に Ⅰ-ⅸ 【マリーナ】
そして、皇帝選挙権を有する六十二人の選帝侯達は、選挙管理委員会を組織し選挙期日を告示した。
皇帝選挙の立候補者及び後見人は、次のとおりである。
【1】 リディアルト・レイデンバーク レントラントエル自由都市 市長
【後見人】 ルト・ロラン ライン王
【2】 トリア・ティアルラント ティアルラント侯爵家当主
【後見人】 カント・ミディアス エルラント共和国大統領
【3】 マリーナ・ランカスティ ランカスティ子爵家第二公女
【後見人】 エルバ・ハンザ 法王庁情報省長官 ハンザ公爵家当主
【4】 リラン・ゼリント ゼリント王国国王
【後見人】 インラム・ラントライン ラントライン大公
【5】 ミク・クレメンス クレメンス公爵家当主
【後見人】 リー・レファンダイン ベルク大司教
まず、【神聖ライン皇帝選挙】に出馬する為には、選帝侯の一人に【後見人】に就任してもらう必要がある。
そして、私の【後見人】は、選帝侯の一人であり公爵の爵位を持つエルバ・ハンザだった。
【後見人】の役割は、【神聖ライン皇帝】候補の選挙活動を人的及び物的に支援することである。
【神聖ライン皇帝】は、その名のとおりの権威及び権力を有していた頃には、その選挙には、多数の人間と莫大な金銭が使われていた。
過去の選挙では【後見人】は存在しない時期もあったが、『公』の意識を持たない人間が、操りやすい候補者を擁立することが続いた。
その為、有力諸侯からなる選帝侯制度を確立され、【神聖ライン皇帝選挙】に立候補する為には、必ず選帝侯に【後見人】に就任してもらわなければならないようになった。
このように始まった【後見人】制度であるが、次第に選挙の趨勢を決するのは、候補者自身ではなく、【後見人】の力によるようになったのは皮肉なものである。
この選挙でも、本来であれば泡沫候補である私が、後見人であるエルバ・ハンザのおかげで最有力候補との評価を受けるようになっていた。
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