第六章 曖昧な輪は確定せず Ⅲ-ⅳ 【イリシス】
わたしにはお兄ちゃんが必要なのだ。
でも……全ては嘘だった……嘘だった!
お兄ちゃんも、フィナさんも、ルッツさまも、ストアもぜんぶぜんぶ嘘だった!
もう、わたしには戻る場所なんてない!
わたしは、お兄ちゃんに騙されていた……騙されていた! 騙されていた!
わたしは、お兄ちゃんに利用されていた……利用されていた! 利用されていた! 利用されていた! 利用されいた!
わたしは、お兄ちゃんの道具だった……道具だった! 道具だった! 道具だった! 道具だった! 道具だった!
わたしには、始めから"お兄ちゃん"なんていなかった……。
『聖女』って、あの『ペジエの聖女』のことだよね……?
わたしが……『ペジエの聖女』なの……?
わたしが『ペジエの聖女』だから、お兄ちゃんは、わたしと一緒に住んでいた……そして、ルッツさまはもちろん、フィナさんら村の人達も全て教会の関係者……。
ストア自体が、わたしのために作られた場所だった……。
もう、何がなんだかわかんないよっ!
もう、誰も信じられないよっ!
わたしってなんなのっ!
もうこんなのいやだよ……もうこんな世界にいたくないよ……こんな世界なんて、こんな世界なんてなくなっちゃえ!