《幕間》
わたくしは、夢をみました。
そして、今また夢をみているようです。
もう何度、夢をみたのか忘れてしまいました。
わたくしは目が覚めると、いつもどんな夢をみていたか忘れてしまいます。
でも、今みている夢の内容はわかります。
ただ、"わかる"といっても、その夢自体がとても曖昧なものなので、上手く説明することはできません。
はっきりしているのは、わたくしはとても満たされているということです。
まるで、わたくしの大好きなあの人の胸に抱かれているみたいです。
そういえば、あの人の声も聞こえます。
でも、その声はあまり聞きたくありません。
……だって、とても悲しそうだから……。
わたくしは、あの人の笑顔が好きです。
でも、あの人は、あまり笑ってくれません。
だから、わたくしは、あの人に笑っってもらおうとがんばります。
あの人は、そんな必死なわたしの姿を見て笑ってくれます。
それで、わたくしはとても満たされます。
だって、わたくしはあの人のことが大好きだから。
ずっと、一緒にいたかったから。
ずっと、あの人のことを見ていたかったから。
ずっと、あの人に、わたくしのことを見ていてほしかったから。
ずっと……ずっと一緒にいたかった……。
だから……わたくしは、あの人と一緒にいるために……
『扉』になることを選びました。
でも、『扉』とはなんのことでしょう?
自分で言ったのに、分からないなんておかしいですね。
わたくしが忘れてしまった夢の中に、その答えがあるのでしょうか?
今度は、目が覚めても夢の内容を覚えていようと思います。
そろそろ、次ぎ夢をみる時間が来たようです。
また、目が覚めたらお会いしましょう。
おやすみなさい。