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第五章 世界の瑕疵-『扉』 Ⅲ-ⅶ 【イリシス】
「キョウメイ……?」
「そうです『共鳴』です」
「それはなんですか?」
「貴方を『扉』にしない唯一の方法です」
……わたしが『扉』になる……?
「貴方は、『扉』であるわたくしの姿を見ているはずです。あの世界から拒絶されたみすぼらしく、おぞましいわたくしの姿を……」
世界と相反する白い肌。
風に流れる金色の髪。
世界を映さない虚ろな瞳。
わたしは、彼女の姿を思い出す。
ただ頭の中で想像するだけで、本能的な恐怖が創造される。
良くないモノ……『世界の瑕疵』。
そして、わたしも……『扉』になる……の?