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アンビエント・リング  曖昧な輪の連  作者: 降矢木三哲
アンビエント・リング 第一部
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第四章  曖昧な輪は望む者の手の中に Ⅳ-ⅳ 【イリシス】

「お兄ちゃん……わたし……どうしちゃったの?」



わたしは、混乱している頭を落ち着かせると、お兄ちゃんにそう尋ねた。


「貧血を起こしたみたいやぞ。あの宿屋に居た医者が、外で冷たい風にあたっていれば、自然とよくなるって言ったから、ここまで連れてきたんや。どうや、気分は?」


お兄ちゃんは、まるで予め考えていた台詞であるかのようにスラスラと答えた。

 

わたしには、そのお兄ちゃんの言葉が、ひどくツクリモノように感じた。





お兄ちゃんは、ウソをついている。





……そう思った。





でも、そのウソは、わたしにとって必要なものなんだろう。


だって、お兄ちゃんのその言葉からは、わたしに対する優しさが感じられたから……だからわたしは、お兄ちゃんを信じる。



「……うん、もう大丈夫だよ。マリーナさんとエルバさんは?」


「あいつらは、一足先にエフィアに向かった」


「じゃあ、ここからは……?」


「僕ら、二人だけや」


「本当! 本当に本当!?」


「本当やって。だから、エフィアに着くまでは、昔と同じようにやっていこうや」


「うん!」

 

限られた時間とはいえ、またお兄ちゃんを、"お兄ちゃん"と呼べる。

 

また、お兄ちゃんは、わたしの"お兄ちゃん"になってくれた……。

 




本当に嬉しいよ……お兄ちゃん。

















……たとえそれがウソでも……。


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