第四章 曖昧な輪は望む者の手の中に Ⅳ-ⅱ 【イリシス】
……わたし……どうしたんだろう……。
急に目の前が暗くなって……それから……分からない……。
今は、外にいるようだけど……木の匂いがする……森の中かなぁ……?
周りが暗くてよく分かんないや……。
身体が重い……自分の身体じゃないみたい……。
まるで、三年前のあのときみたい……フィナさんに助けられた……。
わたし……死んじゃうのかなぁ……。
せっかくまたお兄ちゃんに会えたのに……そんなの嫌だよ……。
まだ、お兄ちゃんにわたしの気持ちをちゃんと伝えていなにのに……そんなの嫌だよ……。
「……お兄ちゃん……」
「……なんやイリシス、起きていたんか?」
お兄ちゃんの声がした。
しかも、すぐ傍……わたしの耳元で……。
わたしは、お兄ちゃんに後ろから抱きしめられていた。
……え……ええっ……ええええええっ!
どどどうしたの!?
いったいどうなってるの!?
わけがわかんないよ!
ちょっと待って……取り敢えず落ち着かなきゃだよ……。
えーっと、確か……わたしは、マリーナさんとお話をしていたんだと思うんだけど……どうしてこんなことになっちゃってるの?
もう全然わかんないよぉ!