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第四章 曖昧な輪は望む者の手の中に Ⅱ-ⅲ 【イリシス】
「だって、あたしルクト様のことが大好きなんですもの!」
な、なに!?
いきなり告白ですか!?
マリーナさんが"ルクト様"のことが好きだってことは知っていただけど……展開が早過ぎるよ……。
なんとかしなくちゃ……なんとかしなくちゃだよ!
……でも、どうして?
べつに、もうお兄ちゃんの"一部下〟にすぎないわたしには、関係ないじゃない?
…本当は……もう"お兄ちゃん〟だなんて思ってもいけないんだよね……。
でも、まだ心の中で思うぐらいなら……うん、きっとそれぐらいならいいよね。
誰にも迷惑かけるわけじゃないし……。
だから、そんなことぐらいしか許されないわたしには、マリーナさんがお兄ちゃんに言い寄ろが、告白しようが、あんなことや、こんなことをしようが、何も言う権利はないよね……。
……でも……でも……言いたいよぉ……。
こんなのなんかいやだ……いやだよぉ……。