22/98
《幕間》
『貴方は、何を欲しているのですか?』
”彼女”の声が聞こえる。
もう、何も映すことはないはずの、”彼女”の虚ろな瞳を見つめると、いつも、”彼女”の声が聞こえてくる。
それは、オレにだけ聞こえる言葉。
それは、オレだけを求める言葉。
それは、”彼女”がオレに向けた最後の言葉。
オレは、その”彼女”の言葉に対して、何と答えたのか……よく思い出せない……。
大事なことであるはずなのに……よく思い出せない……。
どうしてだ……?
……分からない。
……思い出せない。
”あいつ”なら、分かるだろうか?
そうだ……”あいつ”なら分かるだろう。
だから、オレは、”あいつ”に逢おうとしている。
「もう少しだ……もう少しでお前に、”償い”をすることができる……だから、まだ”行かない”でくれ……ルシア……」