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第二章 再会は曖昧な輪の内側で Ⅳ-ⅵ 【イリシス】
お、お兄ちゃん……?
な、な、なんで、お兄ちゃんがここにいるの!?
しかも、わたしだってこと気づいていないみたいだし……。
それにしても、なにナンパなんてしてるのよっ! わたしがどんな気持ちで、この三年間を過ごしてきたと思ってるのっ!
わたしは、お兄ちゃんと再会することだけを願ってきたというのに……。
それなのに……それなのに再会がナンパだなんて……あんまりだよ……あんまりすぎるよぉ……。
本当に泣きたくなってきたよ。
よし!
こうなったら、このままお兄ちゃんをからかってやろう!
そして、後でわたしが『イリシス』だってことをばらして、驚きのあまり腰を抜かすのを見てあげるんだからっ!