14/98
第二章 再会は曖昧な輪の内側で Ⅳ-ⅲ 【ルクト】
「おまえやっぱり口だけやないか!」
僕は、今度は左頬に平手打ちをもらってきたエルバに向かってそう言った。
「すまん……だけど、ちがうねん……あれやねん。あと、もう少しやってん。もう少しやってんけど……」
「もうええわ! おまえにはまかせてられへん! 今度こそ僕が行く!」
「待て待てぃ! コンチクショウ! おまえだけに行かすわけにはいかん。オレも行く! ここは、勝負ということでどうや?」
「ああ、望むところや」
ぶつかり合う男と男の視線。
そして、頷く男二人。
『行くでっ!』