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アンビエント・リング  曖昧な輪の連  作者: 降矢木三哲
アンビエント・リング 第一部
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第二章 再会は曖昧な輪の内側で  Ⅳ-ⅰ 【ルクト】

「で、どうするんや?」


今、僕とエルバは、ベルグの大通りに来ていた。


エルバが、「いっちょ! ナンパでもしにいくか! コンチクショウ!」と言ったからだ。


それに対し僕は、親指を立てて「了解!」と応えた。


もう、完全に昔のルカーナ時代のノリを取り戻していたのだ。



逃避といわれてもいいから今日一日だけでも、僕と僕を取り囲む世界を忘れたかった。



そうしなければ、自分を保てそうになかったのだ。



「まあ、かつてはティアスルートの最強コンビと言われたオレ達やけど、現役から退いていたおまえは、いきなりの実践はキツイやろうから、まずこのオレが見本を見せたるわ。


それで昔のカンを取戻してくれ」



エルバは、そう言うと、近くを通った背の高いスレンダーな美人へ向かって行った。

 




で、結果は……。




 

「おまえ全然あかんやんけ!」

 僕は、右頬に平手打ちをもらって帰ってきた、エルバに対して半ギレでそう言った。



「す、すまん」

 エルバは右頬を手で抑えながらすまなそうにしている。



「わかった、次は僕が行く」


「ちょっと待ってくれや。次は、次は、次こそは、絶対に成功するから……」


「ほんまやな」


「ああ、このエルバ様に二言はない」


ぶつかり合う男と男の視線。



そして、頷く男二人。



「よっしゃわかった。エルバ、僕におまえの華麗なるテックニックを見せてくれ!」


「了解!」


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