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終焉のレクイエム

今日も私の現実を奪いにかかる


 頭の中で、何度も、何度も、同じリズムがリフレインする。

 

 どうか、君たちに伝えたい。

私のようにならないでくれ。


 失ってからでは遅いんだ。わかるだろう? 

君なら、この痛みがわかるはずだ。

 

 俺のようにならないでくれ。

 一生、幻影を探し続け、

寝ても覚めても、

その後悔が脳内を焼き尽くすノイズになる。

そんな人生にだけは、ならないでくれ。


 こんなものを、果たして「生きている」と言えるだろうか。


 手の中には、かつて夢見たすべての「成功」が握られている。


 通帳から振り切れた残高、誰にも届かない名声、宇宙の深淵を覗き見た知性。私は文字通り、この星の「コア」を手に入れた。

 

 だが、今の私には、それらすべてが宇宙に漂う無機質な屑にしか見えない。


 部屋は静まり返り、隣の布団にはもう、あの愛おしい体温はない。


 かつて生活の匂いを纏い、私の「えげつない本音」を笑って受け止めてくれた彼女は、もうどこにもいないのだ。

 

 私は、冷え切ったスマホの画面を見つめ、届くはずのない言葉を繰り返す。

 

「……きみがいればよかったんだ。きみがいれば、他に何もいらなかったんだ」 

 

「……きみがいればよかったんだ。きみがいれば、他に何もいらなかったんだ」

 

 文字通りの「きみ」であり、

掴もうとすれば指をすり抜けていく「彼女」。


 失って初めて、私は自分がどれほど致命的な「不良品」であったかを理解した。

 

 名声がなんだ。富がなんだ。

 虚飾にまみれた賞賛よりも、自分が挫けそうな時に、ただ隣で背中をさすってくれる、あの静かな呼吸が欲しかった。

 

「……きみがいればよかったんだ。きみがいれば、他に何もいらなかったんだ」


「……きみがいればよかったんだ。きみがいれば、他に何もいらなかったんだ」


 ああ、その通りだ。

 世界を掌に乗せたところで、隣にきみがいないこの景色は、ただの色彩を欠いた地獄でしかない。

 

「……きみがいればよかったんだ。きみがいれば、他に何もいらなかったんだ」

 

 三回。同じ後悔を、同じリズムで、空っぽの部屋に響かせる。

 外では今日も、無関心な朝陽が街を照らしている。

 

 これからも、そしていつまでも。

 私はきみを探し続けるんだ。

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