5 特訓Ⅰ
蝋燭の燃える音。
水滴が落ちる音。
そして呼吸音。
神社の中ではすべての音が響いて聞こえる。
スサノオに言われ、数日ほどだろうか。神社の中、紋様が描かれた床で、ずっと精神統一のようなことを続けている。
(これで本当に霊力は高まっているのか?)
スサノオに言われて、霊力を高める特訓を始めているが、霊力が高まっていくという実感がない。それに、、、
「、、、お前はなにしてるんだ?」
「見ればわかるだろう?俺の刀を愛でているのだ」
とスサノオは鼻歌まじりに丁寧に錆びついた刀の手入れを行っているようだ。
数日前
「、、、神社で特訓?じゃあ神社の中に入ってもいいってこと?」
「あぁ、奥も好きに見てみろ」
普段は依代が入っている箱の奥は襖で閉じられているが、今は開けることができる。晃は少し緊張しつつ開けて、中に入ってみる。思ったより綺麗にされており、誰かが定期的に掃除をしに来ていることが分かる。まあそれが誰なのかは想像がつくが、、、
「ちょっと晃、何勝手に中入ってんの!?」
(はぁぁ、めんどくさいのが来た、、、)
そう思った途端、頭部に鋭い痛みを感じた。げんこつをされてしまった。
「、、、羽織さん、、痛いです」
「ったく、最近のガキは」
ぽりぽりと頭を掻く羽織さんはこの神社の巫女。
というわけではないが、たまにこの神社の掃除とかやるために訪れるらしい。俺と姉ちゃんの小さい時からの付き合いだけど、もう少し穏便になってくれないかな、、、顔を伏せたの状態でそう思っていたら、羽織さんは感づいたらしく
「何?」
「、、、何でもないです、、」
羽織さんは深いため息をつく。
「で?何で中入ったのよ?」
「、、中から音が聞こえた気がしたからです。」
「なにそれ。そんな理由で中入ったの?中はね、神職以外の人が入ってはいけないの!ここは本殿ではないけれど、神様はいつでも見ていらっしゃるからね。」
と言われ、確かに神様がいるなと思い、スサノオがいた方向に目をやると、いつの間にか消えていた。
(は!?あいつどこに行った!?)
「何挙動不審になってんのよ、、、まあいいわ。許可なく勝手に入った罰として、1週間この神社を隅から隅まで掃除しなさい!」
「、、、まじですか。」
(これはうれしい誤算というべきだろうか、、、この神社はめったに人は来ない。そしていつ来るかわからないこの人も1週間は来ない可能性が高い。誰にも邪魔されずに特訓ができるかもしれない。)
「、、、ちょっと、なんで嬉しそうなのよ。今日のあんた気持ち悪いわね。じゃあまた1週間後に来るから。次来た時に綺麗じゃなかったら、追加のこれだから丁寧にしなさいね」
と、何かを殴るような腕の動きをした。いや考えてはいけない。彼女が次来る前に隅々までやらないと、、、
「はい。肝に銘じます。」
冷や汗が止まらなかった。




