2 スサノオ
「お姉さんの体に異常があるわけではないが、、、」
医者は言葉を詰まらせていた。それだけ自分の顔がどれだけ醜くなっているかを物語っていた。
「さっきの子、両親が他界されているそうよ」
「、、、お姉さんも眠りについてしまってかわいそうよね」
そんな看護師たちの話し声もどうでもよかった。
姉が倒れて、眠りについたままで、
その現実から逃げるように下を向いて走り出していた。無我夢中に。ただ走り出していた。帰る場所もわからないくせに。
たどり着いたのはあの神社だった。
「、、、こんな状況でも、、俺は神社に行きたかったのか?、、馬鹿らし」
姉が昏睡状態に陥ったのに、こんなところに来る自分自身のことが分からなくなっていった。すべてのことがどうでもよくなり、破壊衝動にかられた。しかし神社の鳥居を通り抜けた途端、そんな思いを断ち切るかのように鈴の音が一度鳴る。
(、、、なんだ?)
意味も分からず、顔を上げるとそこはいつも通っている神社だが、確実に様子がおかしいことに気づく。普段なら夜は霊が出るんじゃないかというくらいとても暗い場所で有名だ。今は祭りがおこなわれているかのようにとても明るい。人がいないのにだ。だが、自身の体が神社へ不思議と吸い寄せられていく。いつも見るお賽銭箱の奥には、この神社の依代が奉納されている箱がある。この箱には、願いが叶う依代があるという噂があった。ただの噂だろう、といつもだったら中身など気にもしなかった。中身は絶対に見てはいけないという決まりがあるからだ。
今は、、、、、決まりなんてどうでもいい。
依代が入っている箱を開けて中身を見てみると、錆びついた日本刀のようなものが入っている。この神社の依代を認識した途端、鈴の音が鳴り響く。
(、、明らかにおかしい!!早くここからでないと!!)
そう思った途端に背後から手を肩に置かれたような感覚があった。その瞬間逃げられないと確信した。
「おいおい、礼拝を忘れておるぞ。なぜしない?」
、、そう嬉々として声をかけられた。恐怖のあまり返事ができなかった。自分の呼吸と心拍数が急激に早くなるのが分かる。
「そう緊張をするな。俺はお前と話がしたくて、今ここにいるのだぞ。」
自分の肩に置かれた手振り払うように体を動かした。相手の手を振り払おうとしたのだ。だが、振り払えなかった。正確にはそこに何もないかのように、振り払おうとした自分の手が相手の手を通り抜けてしまうのだ。思いがけないことにそのまま腰を抜かしてしまう。
「ははっ!怯えすぎだろう。」
嘲笑うかのように淡々と話す相手は宙に浮いていたのだ。
「、いったいなんなんだ!おまえは!!」
晃は恐怖を感じながらも警戒をし、威嚇するように相手を睨んだ。
「、、、その目は変わらないな。俺はスサノオだ。単刀直入に言う、俺と契約をしろ。」




