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神霊の巡来  作者: 福地元春
舞姫入隊編
1/5

1 峯広晃

夏の終わる、夕暮れ時どき。

この時間帯は部活動があるため人の声が遠くからでも聞こえる。

(あー明日は雨かもな、姉ちゃんに言っとこ)

ひこうき雲を見ながら、峯広晃(みねひろこう)は自転車をこぐスピードを上げる。


人の声が小さくなり、虫が鳴く音が大きく聞こえるなか、今日もお詣りをしに自宅から程近い神社へと足を運ぶ。特に義務感というわけではないが、なぜだかせずにはいられない。蛇のような家紋が描かれているお賽銭箱の前に立ち、今日の感謝を伝える。


(今日も見守ってくださりありがとうございました)


幼い時から姉と一緒にお詣りをしているが、それが何年も続いて今に至る。高校生になり、大学生の姉と一緒に行く回数は必然的に少なくなるが。それでも毎日のように行く。お詣りをするために。


「、、、、、?」


お詣りを終わらせ、鳥居を通り抜け、帰ろうとした瞬間、違和感があった。何かが違う。振り返ってみるが、いつもと変わらない風景。しかし、なぜか違和感が消えない。


(、、、、早く帰ろ)


家に着いたとき、違和感が決定的になる。いつもなら電気がついているはずなのに、真っ暗だ。姉は今日1日中家にいると朝言っていた。絶対に家にいるはずなのに、、、

「姉ちゃん?、、、」

電気をつけた瞬間、衝撃の光景があった。


「、、、は?、、姉ちゃん?」

姉がリビングで倒れていたのだ。

「姉ちゃん!!!」

(外傷はない!!呼吸もしている!!、、、寝てるのか⁉いつからこんな状態なんだ!?)

すぐに救急車を呼んだ。

「姉ちゃん大丈夫だから‼もうすぐ救急車来るから‼、、」

何度呼び掛けても起きる気配はなかった。呼びかけているうちに、救急車が到着し、、、そのあとは覚えていない。どのくらい時間がたったのだろうか。気づいたら病室にいて、姉はベッドで眠りについていた。


「、、、入院の手続きをしなきゃならないんだけど、ご両親はいらっしゃる?」

「、、、、いいえ。両親は他界してるので」


手続きをなんとか終わらせ、病室へ戻る。

「、、姉ちゃん」

起きるわけがなく、部屋全体に無慈悲に響いただけだった。





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