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第二話 初依頼

 冒険者登録をして早々、駆け出し冒険者向けの依頼を探そうと掲示板を眺めていた。

 簡単な依頼はあまり残っていないし、かと言って少し上の難易度の任務を選ぶのもリスクが高すぎる。

 しばらく掲示板の前で様子を見ていると、背後から声がかかった。

「お前、新人魔導士だろ?荷物持ちが足りねぇんだ。どうせ仕事が来なくて困ってるなら、頼まれてくれよ」

 声をかけてきたのは30手前ほどの剣士だった。頬についた傷と眼帯が彼の冒険者としての歴を示していた。

 ここで断れば、仕事ができずに挫折するかもしれない。俺はこくりと頷いた。

 荷物持ちを依頼してきたのは結成5年のベテランパーティだった。メンバーは剣士と弓使い、それから戦士。いつも雇っていた荷物持ち兼記録係が怪我をしたため代わりを探していたらしい。

 魔力のない俺には、こんな仕事しか回ってこないのか……。

 すでに心が折れそうだった。


 森に入ってから、俺の役割はないに等しかった。装備やポーションを詰め込んだバックを抱え、記録用紙を片手に抱えてパーティの最後尾についていた。

 何か手伝おうと動くものなら

「お前は後ろにいろ。前に出て怪我なんてされたら困る」

 と一言。現実は残酷だ。

 俺は黙って与えられた記録用紙と地図を眺めながらついてゆく。森の中には複数の魔物の足跡が残っていた。右を見ても左を見ても、足跡、足跡……。

 少しばかり多すぎないか?確か今回の依頼は魔物2体の討伐のはず。しかし足跡の数から考えれば、明らかに10体以上いるのではないか……。

 感じた違和感をそのままにしておけず、思い切ってリーダーに声をかけてみる。

「あの、足跡があまりにも多すぎませんか?足元を見る限り、足跡も相当大きいですし、それに……」

「新人は黙ってろ。問題ねぇ」

 リーダーに一蹴され、思わず口を閉じる。これ以上は何も言えず、黙ってついていった。


 森に入って数十分、問題の魔物がいる場所に辿り着いた。木々の間から複数の魔物の気配がする。戦士と剣士が前に出て、俺と弓使いは後方で待機することになった。

 リーダーの剣士が剣を構えるのとほぼ同時に、奥から狼型の魔物が飛び出してくる。剣士が一発斬撃を入れても、魔物は構わずに彼の方へ襲いかかる。

 しかしベテランである彼は焦らず首に一撃を入れ、魔物の首と胴をなき別れにした。

 ほっと息をつく間も無く、森の奥から次々と狼型の魔物が現れる。数は10匹余り、俺の予想通りだった。

「おい、こんなにいるなんて聞いてねえぞ!」

 剣士と戦士はいきなり現れた魔物の大群に翻弄されながら、なんとか攻撃を続けている。これでは、潰されるのも時間の問題ではないか……。

 仕方ない、待機していろと言われたが魔法を使うしかない。

 俺は地面に手を当て、相手の動きを鈍らせる低級魔法を展開する。使う魔力は最小に、相手の足だけを狙って……。

 俺の魔法が効いたのか、魔物たちの動きが鈍る。その隙をついて俺以外の3人が魔物を討ち取ることに成功した。


「思ったより数が多かったが、なんとかなったな」

「まぁ、アタシがいたからなんとかなったわね」

 エルフの弓使いが高らかに笑う。パーティメンバーは互いを褒め合い、ハイタッチをしたが、俺の方には一瞥もくれなかった。

 俺が魔法を使ったことすら気が付かず、自分たちの力で倒せたと笑っている。

 誰も俺に声をかけない。誰も俺を評価しなかった。駆け出しの俺が何かをするなんて、誰も思っていないのだから当然だ。


 任務の帰り道、森の奥から魔力反応を感知した。闇属性の、少し大きな魔力。この辺りの森に闇属性持ちの魔物なんて生息していただろうか?

 魔物ではないとすれば、何か別の……。


 そこまで考えて、一つの結論に至る。メンバーに伝えなければ、と思ったが、先ほど言われた「新人は黙ってろ」という言葉が脳裏をよぎり、口を閉ざした。

 いつの間にか立ち止まって考え込んでいたらしく、気づけばパーティから少し離れてしまっている。

 置いていかれる前に、慌てて足を早めた。

 俺の頭の中は、先ほど感じた魔力のことで埋め尽くされていた。

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