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それゆけ、孫策クン! 改  作者: 青雲あゆむ
第3章 覇王激突編

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59.南陽郡の奪還 (地図あり)

建安13年(208年)8月下旬 荊州 南陽郡 とう


 我が軍の新兵器 ”諸葛砲”の攻撃によって、鄧城はあっさりと陥落した。

 城壁が崩れたところから兵が突入し、城門を内から開く。

 そこから主力が侵入して、主な武将を討ち取ると、敵兵は次々と投降してきた。

 その中には于禁うきん満寵まんちょうという武将もいた。


 ちなみに討ち取られた武将は夏侯淵かこうえん徐晃じょこうで、やったのは甘寧かんねい呂蒙りょもうだった。

 甘寧と呂蒙、グレートジョブ!

 後でハグしてあげよう。


 そんな戦場跡を見回っていると、聞き覚えのある声が耳に入ってきた。


「ここはこれぐらいでいいだろう。次は城壁の修理に当たるぞ」

「それだと手が足りないので、増援を呼んできましょうか」


 城門付近で、崩れた建物や城壁の修理に当たっている一団があった。

 その中に懐かしい顔が見えたので、近寄って声を掛ける。


馬良ばりょう馬謖ばしょく。久しぶりだな」

「あ、孫策さま。お久しぶりです」

「お、お久しぶりです」


 馬良が屈託のない笑顔を向ける横で、馬謖が戸惑い気味にあいさつを返してきた。


「2人とも、元気そうだな。馬良はたしか、屯長とんちょうになったんだったか」

「はい、いろいろ大変ですけど、なんとかやれてます」


 屯長とは500人クラスの部隊指揮官で、馬良はその能力と家柄の良さから抜擢されていた。


「馬謖は副官か。ちょっと逞しくなったか?」

「……はい。いろいろと、揉まれてますから」


 そう言って馬謖は、少し恥ずかしそうに笑う。

 彼は益州攻略でヘマをやって以来、戦場に出るのを禁止されていた。

 そのままでは、同じ失敗を繰り返すと思われたからだ。


 ところがしばらく後に、馬良と一緒に相談にきた。

 馬謖が馬良の補佐として、また戦場へ出たいと言うのだ。

 どうやら1人で腐ってたところを、兄に励まされ、やる気になったらしい。


 そこで俺は訊ねてみた。

 ”なぜそんなに戦場へ出たがるんだ? お前なら、文官として成功するだろうに”


 すると馬謖はこう答えた。

 ”このままで終わりたくないんです。孫策さまに、無能だと思われたまま生きていくなんて、耐えられません”


 どうやら俺は、思っていた以上に、彼に大きな影響を与えていたらしい。

 俺はため息をつきつつも、馬謖の従軍を許した。

 ”決して死に急ぐんじゃないぞ。常に生き残る努力をしろ”

 と言い添えて。


 その後、彼らは山賊や異民族を相手に、経験を積んでいたそうだ。

 その中で厳しい体験と、兵士とのふれあいを経て、指揮官としての自覚に目覚めたらしい。

 相変わらず負けん気の強そうな顔をしているが、その言動には落ち着いた自信のようなものも垣間見かいまみえる。

 このままいけば、良い将になれるかもしれない。


「そうか。苦労したようだな。これからもがんばれよ。ただし、命は大事にな」

「はい、ありがとうございます」


 そう答える彼の顔は、ちょっと誇らしそうだった。

 俺は少しいい気分になって、さらに城内を見て回る。

 すると今度は、部下と話している太史慈を見つけた。


「よう、太史慈。今回はご苦労だったな」

「これは孫策さま。これぐらい、苦労のうちに入りませんよ。普通なら、何ヶ月も掛かったでしょうからね」

「いやいや、お前たちが勇敢に戦ったからこそ、敵も早々に降伏したんだ。ところで体調の方はどうだ?」

「ええ、華佗かだ先生に診てもらってから、だいぶ楽になりました」

「そうか。それは良かった」


 実は太史慈は、2年ほど前に体調を崩していた。

 史実どおりなら、そのまま死んでいたところだが、幸いにも俺は後漢の名医 華佗かだを召し抱えていた。

 大至急、華佗に診てもらったおかげで、太史慈は持ち直し、今もこうして戦場に立っていられる。


 他にも叔父の呉景ごけいが、華佗のおかげで生きながらえている。

 別に華佗が万能なはずもないが、やはりまともな医者が居るのと居ないのでは、大きく違うのだろう。

 加えてこの世界では、俺が勝ち続けることで、夢を見させられているのもあると思う。

 人間、やはり生活に張りがあった方が、健康に生きられるもんだからな。


 ちなみに華佗には治中従事じちゅうじゅうじという役職を与え、衛生環境の改善や、後継の育成に取り組んでもらっている。

 おかげで江南のトイレ事情が改善して、街中がきれいになったのは嬉しい誤算だった。

 やっぱルールがないと、乱れるからな。


 こうして見回っているうちに、今回の被害状況も判明した。

 俺たちは今回、約10万の兵力で鄧城を攻略したわけだが、2千人ほどの死傷者を出していた。

 対する敵軍は6万人ほどのうち、1万近い死傷者を出して降伏している。


 降伏した敵兵は、その4万ほどが俺に帰順したので、兵力は14万人近くになった。

 さらに襄陽から5万人の増援を加えると、俺たちは北進を開始した。



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


建安13年(208年)9月下旬 荊州 南陽郡 魯陽ろよう


 鄧城を落としてから1ヶ月の間に、俺たちは漢水の支流である淯水いくすいをさかのぼり、次々と都市を攻略していった。

 それは朝陽ちょうよう新野しんや育陽いくよう棘陽きょくようえん西鄂せいがくという都市群だ。

 そこから先は陸路で、とうとう魯陽ろようにまで到達した。


 ここから先はもう州であり、首都である許都までは、百キロちょっとだ。

 ちなみに短期間でここまで来れた理由は、都市住民の協力が大きかった。

 そもそも曹操軍は大半を華北に引き上げたので、鄧城以外に大した兵力は残っていない。


 そんな都市の近くに布陣して、さらに密偵が住民をあおってやれば、さほど待たずに敵は降伏する。

 そりゃあ兵士が数百人しかいなきゃ、普通は諦めるだろう。

 南陽郡はすでに俺の統治を受け入れ、平和を享受していたのだからなおさらだ。


 そしてこの魯陽に一旦、腰を据え、俺たちは今後の方針を議論した。


「許都の状況は?」

「現在、大慌てで引っ越し中です」

「なんだ、まだ終わってないのか」

「それはもう、持ち出せるものは全て、持っていくつもりでしょう」

「ご苦労なこった」


 鄧城が落ちたと判明した時点で、曹操は遷都せんとを強行したそうだ。

 俺がやがて南陽郡を奪還するのは当然の流れで、そうなれば許都は目と鼻の先になる。

 なので曹操は自身の拠点であるぎょうへ首都を移し、天子と朝廷機関を強制的に移動させた。


 しかし許都は10年以上も首都だったわけだから、いろいろと蓄積されているものも多いだろう。

 そんな諸々の資産を、大急ぎで鄴へ運んでいるらしい。


「敵軍の配置は?」

「一時は各地の反乱鎮圧に動いていたようですが、現在は冀州へ集結しつつあります」

「まあ、そうだろうな。今さら反乱鎮圧どころじゃない」

「ですな。それで、今後はどうされますかな?」

「そうだな……このまま冀州を目指してもいいが、許都も捨てがたい」


 そう言うと、周瑜から助言があった。


「迷ってるんなら、許都へ行くべきじゃないかな。そして近隣の群雄を集めて、漢王朝の後継を宣言するんだ」

「う~ん、やっぱそうした方がいいか?」

「ああ、すでに曹操に漢朝を支える力がないことを、はっきりさせた方がいい。たぶんその方が、結果的に早いと思うよ」

「かもな……韓嵩かんすうはどう思う?」

「私も周瑜どのに賛成です。最後まで漢王朝へ敬意を示した方が、名士の理解も得やすいでしょう」

「なるほど。よし、それでは許都へ向けて進軍するか。ついでに近隣の豪族にも、許都で会盟しようと呼びかける」

「承知いたしました」


 かくして当面の方針は決定した。

 いろいろと面倒だが、味方は多い方がいいからな。

南側にあるとう県から上に伸びてるのが淯水いくすいで、それ沿いに北上して魯陽ろようまで到達しました。

ここから東に行けば許都もわりと近いし、北に行けば洛陽です。

挿絵(By みてみん)


地図データの提供元は”もっと知りたい! 三国志”さま。

 https://three-kingdoms.net/

ありがとうございます。

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