第7話「マントと指輪狩り」
アストリア学院での生活が始まってから数ヶ月が経過した。シャドウクラスの生徒たちは日々の訓練を重ね、次第にリベレートの技術を習得し始めていた。リアムはボウガンを、アイシャは槍を、ダリオはハンマーを、エレナは斧をレオンは双剣それぞれ具現化できるようになっていた。
しかし、カナタだけは未だにリベレートに成功していなかった。授与式で与えられた首輪にエルナを注ぎ込んでも、何の反応も示さない。焦りと不安が募る中、彼は日々の訓練に励んでいた。
ある日の夕方、カナタは幼馴染のエマ・ヴィエラと共に学院からの帰路についていた。
「エマは凄いよ!リベレートに成功しているだけでなく、風属性の付与もできるようになってるなんて!それに比べて僕は…」
「カナタ、大丈夫だよ。きっとリベレートできる日が来るから」
「ありがとう、エマ。でも、みんなが次々と成功していく中で、僕だけが……」
その時、突然周囲の空気が変わった。暗闇から数人の黒装束の者たちが現れ、二人を取り囲んだ。彼らの胸には「真っ黒な月」の紋章が刻まれている。
「あなたたちは…ダークサイド!?」
エマは即座に弓をリベレートし、構えた。
【ダークサイド】学院の生徒たちが持つ指輪を狙う謎の組織。彼らは「指輪狩り」と称して生徒たちを襲撃し、ギフトを奪取することを目的としている。
エマは風属性の力を込めた矢を放ち、敵の一人を撃退する。しかし、敵の数は多く、彼女一人で対処するのは困難だった。
???「弓か。なかなかの威力だな。だが所詮は学生、おとなしく指輪を渡せば傷つけたりはしない」
攻撃を受けたエマは気を失ってしまう。カナタは自分の無力さを痛感し、拳を握りしめた。
「エマを守らなきゃ……でも、僕には武器が……」
敵の一人がエマに向かって攻撃を仕掛け、彼女の指輪を奪おうとした瞬間
???「まだ時ではないが奪われたら元も子もないしな」
またカナタにだけ声が聞こえた。
その瞬間、首輪が輝きだす。
「暖かい…」
首輪が眩い光を放ち、柔らかな布が首輪から現れた。それは深い紺色のマントだった。マントがカナタとエマとを包み込んだ。
敵の攻撃がマントに直撃する。しかし、マントはその衝撃を吸収し、跳ね返した。敵は驚き、後退する。
「これが……僕の武器……マント?」
カナタは信じられない思いでマントを見つめた。
ダークサイドたちはマントという稀有な武器に驚きを隠せないようだった。
???「あれは……お前たちここは退くぞ」
敵は諦めて去っていった
「助かった…エマ!エ…マ…」
カナタは気絶するように眠ってしまった。
初めてのリベレートを成功させたカナタ。
しかし謎は残るまま、二人を襲った者達は一体?