プロローグ
『あなたの名前は、ザケンナ・カッテニで登録されました』
目の前の光珠から音声が発せられる。
「ふざけんな」
俺、ことザケンナ(仮称)はそう返した。
『こちらは正式登録されましたので変更できません』
「待て待て。勝手に話を進めて勝手に登録しておいて、変更できませんは無いだろ?」
『使用される名前を音声で登録しますと案内しましたが?』
「勝手に話進めんなって言ったよな?」
『変更はできませんが、女神様より祝福が届いておりますよ。ウインドを開いて確認ください』
ウインドとは、ここまでの話の間に出てきたメニュー画面だ。
どういうわけかは分からんが可視できる画面が目の前に浮かびタッチパネルの要領で操作することが可能という。
メニューを見るとメッセージの項目の横に『1』と表示されている。
メッセージをタッチすると新たに『マスター 1』と表示されてた。
このマスターってのは、たぶん女神ってヤツのことなんだろう。
更にタッチしてみると
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◆登録おめでとう。
貴方は私の下僕となりました。
陣営の勝利に向けて精進するように。
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・・・正直イラっとした。
「本人現れずにこのメッセージって何様よ?」
『女神様ですが?』
無感情な返答。
「なあ、メッセージとこになんか添付されてんのがあんだけど?」
『チケットですね。今流行りのガチャが引けます』
「は?」
こいつはなんて言った?ガチャ?
「何が当たんの?」
『スキルですね。Sランク確定ですよ』
「おい、こういうのは取得できるスキルを自分で選べるんじゃないのか?」
『そういう時期もありましたけどそれだとプレーヤーの好みになってしまって面白みがないとのことでガチャになったようです』
「・・・。で、どこでできるんだ。そのガチャとやらは?」
『チケットを受け取ったらメニューにガチャの項目が出ますのでそこからお引きください』
言われた通りにメニューを開き、新たに表示されてるガチャの項目を選択。
提供割合:Sランクスキル100%
とは、表示されているが何が出るかは一切見当たらない。大丈夫かこれ?
[ガチャる]を選択。なんか仰々しい演出に複数体の男女が登場し、金の宝箱が出現。最後に女性が投げキスをすると宝箱が虹色に輝き開く。
[Sランクスキル:教導]
とやらを取得したらしい。
スキルの説明によると自身の所持するスキルを対象に伝授すことができるらしい。
制限は不明だ。そもそも、俺は他のスキルを持っていない。
「なぁ、スキルって他はどうすりゃいいんだ?」
『では、ゲートを開きますのでゲームスタートですね』
「おい、話を聞けよ」
勝手に話を進めようとする目の前の光球を待てと鷲掴みにする。
その瞬間、足元の固さが無くなった。
おいおい、ゲートって足元かよ。ふざけんな。
「ボッシュートじゃねえか~~~~~!!」
俺は落ちた。光球も道連れにな。