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幼馴染と、踏みだす一歩  作者: 金平糖2式


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1/4

そして、(約)半年後

一応、以下の作品の続編と言うか、とりあえずの締めの話となります。


『幼馴染みはクソ女』

https://ncode.syosetu.com/n1904ia/


『私は薄っぺらなクソ女』

https://ncode.syosetu.com/n5400ia/


フィクション成分が前作より更に倍増しています。

ツッコミどころも以下同文。


試験的に、なろうでよく見る場面転換ごとに話を区切る形で投稿してみます。

 放課後の教室。

 俺はようやく用事を片付け終えて――

時間を確認すると、思ったより遅くなったな、と荷物を纏め始める。


「あ、シュウちゃん……もう、いいの?」


まだ居残っている俺に付き添う形で、自分の席で待っていた女子生徒が、声をかけてくる。


 長谷川(はせがわ七海ななみ)

俺のクラスメイトで、物心ついたころからの付き合いがある、幼馴染、というやつだ。

 いろいろあって、高校に入学してから、一時期疎遠になっていた時期も、あったのだが。

何の因果か、こうしてまた、何かと一緒にいる様になった。


「あー、七海悪い……思ったより、随分時間食っちまった。

まあ、とりあえず、大丈夫……の筈だ」


ふう、と息を吐いて、彼女に向き合って、学生鞄を肩にかけ、立ち上がる。


「待ってもらって、悪かったな。

じゃあ、そろそろ準備も済んだし、帰るか?」


「気にしないで。私が、好きでやってる事だから。

うん……それじゃ、行こっか」


 俺の言葉に苦笑しながら、七海もまた、学生鞄を手に立ち上がる。


 もう、半年近く経つのだろうか。

こいつと――またゼロから、やり直すと、決めてから。


 初めのうちは、随分とぎこちなく、思うように言葉も出て来なかったものだが……

気が付けば随分と昔の様に、気安く話せる様にはなったものだ、と思う。


 ――って……ああ。


「あれ、シュウちゃん……どうかした?」


「いや七海……髪の毛に何かついてる。

ああ、糸くずだな、これ。

取ってやるから動くなよ」


「えっ、あっ……」


 手を伸ばし、七海の髪についた糸くずを取る。

その際に掠める形で触れてしまった、彼女の頬がやや熱を帯びていたのは……気付かないふりをした。


「――悪い、くすぐったかったか?

でも、ちゃんと取れたから、ほら」


「……ううん、シュウちゃん、ありがとう。

じゃあ、電車の時間、遅れちゃうし、そろそろ学校、出ないと――」


 糸くずを摘まみ上げて、掲げる俺に、頬を微かに紅く染めたまま、七海はそっぽを向いた。

流石に、彼女のこれが風邪とか、病気の類によるものではないことくらいは、わかっている。

……わかっては、いるのだ。


 半ば、熱に浮かされる様に……

なあ、と彼女に声をかけようとしたその時、がらり、と二人きりだった教室のドアが開く。


ドアの向こう側にいたのは、これまた同じクラスの男子生徒の、空木か。

今更戻ってくるとは……忘れ物でもしたのだろうか。


 事ある毎にやかましく騒ぐ男で、周りからは憎めないお調子者、と言った立ち位置で通っている。

俺個人としては、あまり関わりを持ちたい相手では、ないのだが。

 何というか、随分とタイミングが悪い時に来るものだ。

相手が相手だけに、余計なことまで思い出しそうになる。


 頭によぎるのはまだ、七海と再びかかわりを持つことになってから、ほどない頃の記憶。

 昼休みの校舎の裏で、偶然盗み聞く形になってしまった……

空木が七海への告白した現場に、出くわした時の事だ。


 今、思い返してみれば、だが……

多分、空木の眼からは俺が煮え切らない男だ、とでも映っていたんだろう。

 俺への悪罵を交えながら、なぜ自分と付き合ってくれないのか、と訴える空木に

七海は、目を逸らさずに、声音に僅かな怒気を宿して、答えを返していた。


『……私の事は、何を言われたって仕方がないと思うよ。

シュウちゃんと積み重ねてきた時間と信頼を、裏切ってしまったのは、事実だから。

まだ、はっきり面と向かって好きだって言う事なんて、許されないだろうけど。

それでも、いつか許してもらえたらって、その時は――今度こそ、ずっと一緒にいれたらって、そう、思うんだ。

だから、貴方の気持ちには応えられない、ごめんなさい』


 ――そうして、ただ単純に七海が頭を下げ、空木を振ってお終い、とはならなかった。

何故かと言えば、この直後に、俺の存在に気付かれたことで……

 憤りのまま、こちらに食ってかかってきた空木に、売り言葉に買い言葉で返し、少々派手な言い合いとなったからだ。


 ……まだ、七海と再び関りを持つことに、迷いのようなものを持っていた頃の話だ。


 この時、半端な態度をとるならば……七海から離れろと迫る空木に、

どうしようもない苛立ちを覚えて、反射的に『お前の知った事か』と返し、口火を切ってしまったのは……

振り返ってみれば、俺にも何かしらの未練があった、と言う事だったのだろうか。


 俺とて、一度は、あいつを見限って、忘れる事を選んだというのに。


 まあ……結局、俺も大人ぶったところで、ただのガキでしかなかった、という事か。

分かっているつもりではあったが、それが本当につもりでしかなかったのは、この時からの半年近い期間で嫌と言う程思い知らされた。


 あまり愉快ではない記憶に埋没していた所為で、憂鬱になり……

はあ、とため息をついてから、今現在の空木のいる方向に視線を向ける。


 あいつは、こちらと目が合った瞬間から、血相を変えて……

何やら気まずそうな調子で、自分の机からノートなり何なりを回収すると、

そそくさと教室から出て行った。


 まあ、あれだけ派手に騒いだ挙句、盛大にフラれた相手と出くわして

おまけに、その時にボロカスに罵った相手と、一緒にいる所を見れば……居たたまれなくもなるか。

 泡を食ったような表情は、あの時の空木の反応とそっくりで、

何というか、当時の自分を思い出してしまい、妙にこそばゆい。


「えっと、シュウちゃん。さっき、空木君が入ってくる前なんだけど……

何か言いかけてなかった?」


「……いや、気のせいだろ。もう、いいから帰ろうぜ」


 空木の事については……随分前のことだし、今更話を蒸し返しても仕方がない。

何となしに口にしかけた何かを、言葉にする機会を逃した事も、いいと思うことにしよう。


 一度、深く深呼吸して気分を切り替えてから……

空けられたままのドアから、七海と共に教室を出る事にした。

前書きの通り、分けて投稿します。

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