2.伯爵家令嬢、ティアから見た少年。
それ、勢いのままに書きまくるぜ。
――少女にとって、それは運命の出会いだった。
「はっ……はっ……!?」
その日は、いつもより遅い時間に外出した。
付き人を数人引き連れていたものの、殺しを厭わない相手を敵にしたら関係ない。伯爵家令嬢のティア・リューデングラムは、付き人の助けあって命からがら街を逃げていた。しかしながら、護身術程度の力しかない少女が捕らえられるのは時間の問題。
結果として、間もなくティアは身柄を拘束されてしまった。
「離して……!!」
必死に逃げようと試みるが、単純な腕力で敵うわけがない。希少なユニークスキルを持っていたとしても、その差は簡単に埋まらなかった。
相手は大人の男性三名。だからもう、諦めよう。
そう考えた瞬間だった。
「やめろ……!」
一人の少年が、颯爽とその場に現れたのは。
「ああん?」
「なんだ、お前……」
「大人が三人で一人の女の子を相手に、なにしてるんだ!!」
少年はそう言って、腰元から得物を抜き放ち構えた。
敵対の意思を示したからだろう。男たちは、すかさず少年のことを取り囲み命を奪おうとした。ティアは人の死を見たくない一心で、両目を強く瞑る。
そして、その直後に聞こえたのは――。
「え…………?」
男三人の悲鳴だった。
驚きに目を開くと、そこには……。
「す、ごい……!」
炎の剣を構えて仁王立ちする少年の姿。
彼はしばし固まっていたが、一つ息をつくとティアに手を差し出して言った。
「大丈夫かい……?」
この瞬間に、ティアの中で少年――イソンは、仰ぐべき師となったのである。
◆
「あれは、結局なんだったんだろう……?」
ボクは仕事終わりに、街を歩きながらそう呟いた。
女の子を守るため、剣を引き抜いたところまでは憶えている。しかし、そこから先の出来事がと想定外だった。だって――。
「どうしてボクが【ファイア】なんかを……?」
本来使えるはずのないスキルが発言したのだから。
一日経った今でも、あのことは疑問でしかなかった。無我夢中に剣を振ったら男たちは倒せたけれど、それ以降のことは曖昧だ。
女の子を保護者らしき人たちに受け渡して。
それで――。
「あ、あの……!!」
「ん……?」
そこまで考えた時だった。
目の前に、あの時の女の子が現れたのは。
金の髪に紫の瞳。愛らしい顔立ちの少女は、ボクを見て意を決したように言った。
「お願いです……!」
若干、頬を赤らめながら。
「私を弟子にしてください……!」――と。
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