プロローグ ただ一つの【吸収力】
原稿の合間に新作だぁぁぁぁぁぁ!!
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「……はぁ? なんだよ、その【吸収力】とかいうスキル!」
「えっと、その名の通り、です」
――誰もが一つだけ、特別な才能を得られる世界。
ボクはパーティーのリーダーにそう言われ、苦笑するしかなかった。
急遽欠員が出たため仲間に入れてもらえたのだが、ボクのスキル名を耳にすると相手は不機嫌な表情になる。それというのも、こちらのスキルがお気に召さなかったから、だろう。
普通であれば【炎系】や【氷系】に、あるいは【水系】などといった分類があった。しかしボクのスキルは異端も異端で、使いどころが自分でも分からない。
「なにができるんだ、ちなみに」
「えっと、たとえばゴミを一ヶ所に集められます」
「………………は?」
足元に紙屑を撒いて、実践してみせた。
でも、綺麗になった床を見て、相手は眉間に皺を寄せる。
騒がしいギルドの中であるにもかかわらず、この場にだけ静寂が降りてきていた。数十秒と続いていくそれに、ボクはいよいよ耐え切れず、誤魔化すように笑う。
「……あ、あはは! たぶん、風系のスキルなんでしょうね!!」
ただ、自分でも分かった。
ボクの笑顔は完全に引きつっており、頬には冷や汗が伝っている。
この後に起きることを理解しているから、すでに身体は緊張で硬くなっていた。
そして、いよいよ相手も我慢の限界がきたらしい。
笑って流そうとしたボクに、イライラした口調でこう言うのだった。
「役立たずは必要ねぇ! いますぐクビ、追放だ!! どうしても金が必要なら、どこかで清掃業務のバイトでもやってろ!!」――と。
そんなこんなで。
ついにボクは、クエストに赴くより前に解雇を言い渡されたのだった。
◆
産まれた瞬間に、誰もが神からユニークスキルを授かる。
ユニークというだけあって、言うまでもなく世界でその能力を持つのは一人だけ。だから、得てしてそれらは適材適所、各々の必要な場所で重宝される。
しかしながら、俗にいう『ハズレ』というものもあって。
ボク――イソンの【吸収力】なんていうのは、まさしくそれであると言えた。
「あぁ、今日も冒険者になれなかったな……」
夜の街を歩きながら。
ボクは昼に起きた出来事を振り返り、大きくため息をついた。
「たしかに役立たずだけど、追い払うのに【ファイア】を使う必要なんてないじゃないか。まったく……」
ほんの少しだけ焦げた前髪をいじりながら、そう独り言を口にする。
先ほどボクに追放を言い渡した相手は【炎系】のスキル使いで、こちらの態度が癪に障ったのか、一発軽いそれをお見舞いしてきたのだった。
お陰様で、ほんの少し髪が不揃いになっている。
「でも、アレが本当のスキル、ってやつなんだよな。それに比べて……」
これはいよいよ、アルバイト先の清掃業者に本格就職を考えた方が良いかもしれない。そう思うなどして、ボクは大きくうな垂れつつため息をついた。
そして、人気のない公園へと足を運ぶ。むやみやたらに街中を歩き回っても、妙案は浮かばなかった。それだったら一度、休憩しつつ考えるとしよう。
そう思っていると、不意にこんな声が聞こえてきた。
「だ、誰か助けてください……!」
まだまだ若い女の子のそれ。
ボクはとっさに声のした方へ駆け出すと、そこにあったのは――。
「動くな……!」
「やだ! 離してください!!」
「くそ! おい、手足を縛れ!!」
複数人の覆面姿をした男が、一人の女の子を捕えようとする光景だった。
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