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社畜生活の料理日誌  作者: 伊藤紗凪
1/2

01 朝ご飯

 六時十分。目覚まし時計の音がけたたましく鳴ります。

 私は重い身体に逆らいながらその音を消す。

 そうして、消した体勢のまま顔を枕へ押し付けます。

 もう少し。あと五分……。

 そして五分後、目覚まし時計のスヌーズ機能により再びけたたましい音が鳴り響きました。

 仕方ありません。私は辛いながらも暖かく心地良い布団から離れることにしました。


 私は社畜。日々会社と社会のためこの身この心を限界まで削る日々を送る者です。

 労働基準法を反するような環境じゃないにしても、やはり日々の労働は辛いのです。

 そんな私にも趣味、生きる糧があります。

 それは、料理。

 日々の食事を用意する手段であり、同時に私の意欲を沸き立たせるもの。


 洗顔などの身支度を調え、私は朝食の準備に入ります。

 小鍋に水と粉末出汁を入れ、昨晩切っておいた大根と油揚げ、わかめを投入。中火で煮ます。

 隣のコンロにフライパンを置き、少量の油を引きます。こちらも中火です。

 そしてフライパンが温まった頃、普段冷凍保存し昨晩から冷蔵解凍した鮭の切り身を取り出し、フライパンに入れるのです。

 本来なら魚グリルで焼きたいところです。ですが洗い物が大変なので簡単に済むフライパンで焼きます。

 少し火を強めてからフライパンで表面を焼きます。この時フライパンを揺らすのがコツです。

 置いたままにすると魚とフライパンがくっついてしまい身が剥がれます。それを防ぐために、表面を油で馴染ませつつ、カリッと焼きます。

 そうして両面が焼かれたら弱火にして中へじっくり熱を通します。

 さて、鮭は一段落ですね。次に鍋の方を見ます。

 既に沸騰した鍋。中の大根を見ます。

 ほんのり透明になったそれを見て、火を弱めます。

 朝は時間が限られています。だから身は薄く小さく、そして火が早く通るようにします。

 そうして冷凍庫から冷凍保存したご飯を出し、電子レンジで温めます。

 本当は炊きたてご飯が食べたい。でも社畜の自由時間はあまりにも少ないのです。だからこういう工夫に頼ります。

 でも決して悪い事じゃありません。現代科学は素晴らしい。こうして美味しく温かいご飯ば食べられるのですから。

 ご飯を温めている間に鮭の焼き具合を見つつ、鍋に味噌を入れ溶かします。

 沸騰しそう、なタイミングで火を止める。沸騰させないのが美味しさのワンポイントです。

 鮭もしっかり焼けてそうです。こちらもお皿に盛りましょう。

 味噌汁もお椀によそい、そうしていると電子レンジの音がなるのです。ご飯が温まりました。

 そして冷蔵庫からもう一品。昨晩用意したスーパーで買ったキャベツサラダとミニトマトの盛り付けです。


 さて、朝ご飯ができました。いただきましょう。


 朝から良い仕事をしました。


 料理とは、常に手間暇かける必要はありません。忙しい社畜にそれを求めるのは酷です。

 時間と気持ちに余裕があるとき、盛大に頑張るのです。


 食事も料理も楽しむもの。それが私の流儀。


 さて、美味しい朝ご飯もいただけました。

 では、行きましょうか……。

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