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【書籍発売中、2巻続刊!】最凶侯爵の逆鱗に触れた者達の末路  作者: やとぎ


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ギルドルク併合①

 ジオルグとジルヴォルが会談を行い、ガルヴェイトとザーベイルの間に国交樹立が成立したことは近隣諸国にあっという間に広まった。


(お兄様は見限られたんだわ……)


 両国の国交樹立の報を受けてソシュアがまず思ったのはこれであった。


 ガルヴェイトには王太子であったデミトルがいた。もし、兄デミトルがガルヴェイトで工作を行い、それが効果があったならばガルヴェイトがザーベイルと国交樹立に動くことはないだろう。


(……デミトルお兄様は多分処刑される……いえ、もう殺されてるかもしれない)


 ソシュアはそう考えると流石に心が重くなる。色々と考えなしの兄であったが、それでも死んでほしいと思うほどソシュアとの関係は悪くなかったのだ。


「こ、これはど、ど、ど、どういうことだ!!」


 レオス=マーケインが明らかに狼狽した声で叫ぶ。レオスの狼狽の声に他の者達も狼狽えているのがわかる。

 両国の国交樹立の報に対して動揺を示さなかったもの達もいる。当然だが、リョシュアを筆頭とするザーベイルの工作員たちは涼しい顔をしている。難しい表情を浮かべているのだが、そこに悲壮感や恐怖などは感じられないところを見るとやはり命の危険を感じているわけではないのだろう。


(うーん、どうしたものかしら……有能なのは()だし、無能なのは忠誠心皆無(・・)と……考えれば考えるほど絶望だわ)


 ソシュアは自分の状況を考えれば考えるほど絶望的になってくる。


(いっそのこと恭順する方がいいのかしら……でもそうなったらここに集ったもの達を見捨てることになっちゃうし……忠誠心皆無であってもギルドルクの民……見捨てることはできないのよね……)


 ソシュアはそう考えると自分の考えにゲンナリする。ソシュアにしてみればレオス達のように自分の元に集ったもの達の魂胆は見え透いている。別にソシュアを助けようとかギルドルク王家への忠誠、ギルドルクの民達のためなどというわけではなく、単に自分達が権力を得るためであるのだ。

 ソシュアはそれがわかっていながらも自分の元に集ってきたもの達を見捨てることはできないのである。これはある意味王族としての意識が最も高いとも言える。


(いずれにせよ……ガルヴェイトとの共闘という線は消えたわね)


 ソシュアは生き残りの可能性が一つ消えたことにため息をつきたくなる。


「陛下、これは由々しき事態です!!まさかガルヴェイトの支援が受けれないとは!!」


 レオスがソシュアに声をかける。その声には大いに動揺しているのが丸わかりであった。

 ソシュアにしてみればガルヴェイトが自分達を支援するとは元々思っていなかった。もし、自分達を支援するというのならばデミトルがソシュアを女王に即位させるのを良しとするわけはないからだ。

 もし、自分達を支援するというのならばガルヴェイトがデミトルを支援して、ソシュア達へ恭順を示した方がよほど影響力をギルドルク国内で増すことができたはずである。

 それがなかったという段階で、もはやガルヴェイトが自分達を支援することはないと思っていた。ソシュアはせめて亡命先としてガルヴェイトが迎えてくれればと思っていたのである。だが、ザーベイルと国交樹立が成立したことでわざわざザーベイルと仲が悪くなるようなことはしないだろう。


「狼狽えてはいけません!! 我々がやるべきことはこちらの陣営をもっと強固なものにすることです!! マーケイン卿、傭兵をもっと集めなさい。カドルケン卿はコーグルに砦を築きなさい!!」

「は、は!!」


 ソシュアの命令を受けたレオスとカドルケンはソシュアの語気の強さに背筋を伸ばすとそれぞれの派閥を連れて出て行った。


(マーケインもカドルケンも私を売るつもり(・・・・・)ね。なんとかしないと……)


 ソシュアは自分に残されている時間が少ないことを察していた。



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