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【書籍発売中、2巻続刊!】最凶侯爵の逆鱗に触れた者達の末路  作者: やとぎ


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最凶と最凶⑤

「ふざけるな!! 貴様はルクルトとソシュアに書状を書けば助命をすると言ったではないか!!」


 ジオルグの返答に激昂した声を発したのはもちろんデミトルである。デミトルにしてみれば今の今まで命が助かると思っていたのに騙されたという思いであった。


「はて? デミトル殿下は何をおっしゃっているのです? 私は嘘など一切ついておりませんよ」

「ふざけるな!! 助命などしないではないか!!」

「しましたよ?」

「な……」


 ジオルグは少しだけ首を傾げて返答する。まるでデミトルの方が何を言っているんだ?というような対応であり、それがデミトルにしてみれば限りなく腹立たしい。


「思い出してください。私は助命嘆願すると言っただけですよ」

「く……」

「先ほどジルヴォル陛下へ助命嘆願したでしょう。聞いてなかったんですか?」

「き、きさ……」


 ジオルグの詭弁にデミトルは二の句が告げないという様子だ。そして、ザーベイルの文官、ガルヴェイトの文官も呆気に取られている。


(なぜ……ザーフィングはこんな無駄(・・)なことをする……?)


 ジルヴォルは目を細めてジオルグとデミトルの茶番(・・)を見ている。ジオルグがこの状況でこのような事をすることに意味がないとは思えない。


(先ほど部下二人が出て行った……何かを調べに行ったと考えるのが自然だ。では我が軍の勝利が本当かどうか……確認に行ったか。つまりは時間稼ぎということか……だが、どうやって……?)


 ジルヴォルはロイとライドが出て行ったことを見逃すようなことはしない。その意図を正確に把握していたが、同時に一つの可能性に思い至り戦慄する。


(こいつは諜報網をザーベイルにも張り巡らせている……そして、王城内に届けることができる程の手練れ共ということか)


 ジルヴォルはジオルグのもつ諜報網に一気に警戒心を高めた。


 その時、扉が開きロイとライドが入ってきた。手にはジオルグのものと思われる私物があった。


「申し訳ございません。お持ちいたしました」

「ああ、ご苦労」


 ジオルグは私物を受け取る際にライドから情報を受け取った。その情報は「確定」であった。


(まさかこの短期間にフラスタルを破るとはな……どうやったかは問題ではないな……問題はこの短期間でフラスタルを破ったという事実だ)


 ジオルグはそう決断するとすぐさま行動に移す。その行動とは不要(・・)となったものを処分することである。


「さて、こちらとすればデミトル殿下の助命嘆願が終わった以上、約束は果たしました。あとはジルヴォル王の判断ですな」


 ジオルグはここでジルヴォルにデミトルの始末を押し付けてきた。


(ち……こいつ)


 ジルヴォルは心の中で舌打ちをする。ジオルグの思惑が読めたからだ。ジオルグはデミトルの始末を押し付けてその間に作戦を練ろうという考えであることを察したのである。


「デミトル、君は死刑が宣告されていた。それを取り消すことはない。それどころか君は脱獄した以上、さらに罪状が加算されていると思え」

「な、ふざけるな!!」

「ふざけてなどいない。わざわざ戻ってくるとはな。お前はどうして死刑囚が逃げ出してそれで無罪放免になると思えるのだ?」


 ジルヴォルの冷たい声にデミトルは声を失った。『格が違う』という認識をこの場にいるもの全てが感じた。


「死刑囚がノコノコと戻ってきたのだ。こちらとすればそれを助ける必要が見られない以上、死刑は決定事項だ。おい」

「ひっ!!」


 ジルヴォルの冷たい声にデミトルは明らかに恐怖の叫びをあげた。かつてのジルヴォルを見下していた時の彼を知っているればその落差に驚いたことだろう。

 ジルヴォルの命令を受けた騎士二人がデミトルの両腕を掴み上げる。


「ま、待て!! 待ってくれぇ!! ザーフィング!! 助けてくれぇぇ!!」


 デミトルが恐怖の叫びを上げる。もはや恥も外聞もあったものではないというところであろう。


「デミトル殿下、ご苦労だった(・・・・・・)

「は!? えっ!?」

「だが、もう君が私の役に立つことはない。大人しく刑に服しなさい」


 ジオルグの言葉はかなり丁寧な言葉ではあるが、実際のところ『お前は用済みだ』という言葉でしかないのだ。


「連れて行け」


 ジルヴォルが命令を下すと騎士に両腕を掴まれたまま強制的に連れ出された。なおも叫ぼうとするが無情にも扉が閉められた。なおも扉の向こうでデミトルの喚き声が発せられていたが、それも聞こえなくなった。


「さて、準備は終わったのか?」

「ええ、終わりましたよ。茶番はここまでにして真面目にやりましょうか」

「そうだな。どうやら我が軍の勝利が本当であることを確認した以上、君の一手が潰れたことは理解しているだろう。そこで君がどのような条件を出して私を唸らせるつもりか非常に楽しみだよ」

「失望はさせませんよ」


 ジオルグはそう言って不敵に嗤った。



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