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【書籍発売中、2巻続刊!】最凶侯爵の逆鱗に触れた者達の末路  作者: やとぎ


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御前会議①

 ジオルグがアルゼイス王に奏上し、会合を行ってから二週間ほどが経った。


 そこに、ガルヴェイト王国の王城に隣国である旧ギルドルク王国の王太子であるデミトルが亡命してきたのである。


 アルゼイス王はデミトル達を暖かく迎え入れ、とりあえず王城に住まわせることになった。


 アルゼイス王は協力を約束するようなことはせずに対応を話し合うことになったのである。


 その対応を行う御前会議の出席者は、アルゼイス王、王太子イルザム、宰相フィジール公爵、財務相ディバル侯爵、護国卿レパレンダス侯爵とジオルグの六人である。


「さて、本日集まってもらったのは他でもない旧ギルドルク王国の元王太子デミトルの扱いだ」


 アルゼイス王の言葉で御前会議が始まった。


「ザーフィング侯、集まった情報を説明せよ」

「はっ!!」


 アルゼイス王の言葉を受けたジオルグは立ち上がると一礼する。


「まず、もはやギルドルク王国は滅亡したということをご認識ください」


 ジオルグの言葉に出席者達は頷く。現状を考えれば、ギルドルク王国は既に滅亡しているのは共通認識である。国王、王妃は処刑され、王太子であったデミトルが亡命しているというのは既に滅亡していることを意味しているのである。再建できるかどうかは今後にかかっているのである。


「そして、ザーベイル王国国王であるジルヴォルは限りなく危険な男であるとご認識ください」

「ほぅ……ザーフィング侯が危険と判断するということは根拠があるのだな?」


 ジオルグの言葉に王太子イルザムが尋ねる。イルザムの問いかけにジオルグは頷いた。


「はい。王太子殿下の申されるように根拠はございます」

「そうか、聞かせてくれ」

「はい。理由は三つございます」


 ジオルグの言葉に出席者は頷いた。三つの理由があると告げることで自分の話を聞かせるというのは基本中の基本である。


「まず一つ目です。まずはザーベイル軍の強さです。わずか半年でギルドルク王国を滅ぼしました。これは異常な速度です。配下の報告によればその間の補給関連は全く滞ることはなかったとのこと。これはやはり相当な計画を練り、かつ完璧に運用しているということに他なりません」


 ジオルグの言葉に出席者達は頷いた。特に護国卿であるレパレンダス侯爵の頷きは一際大きいものであった。

 軍事行動の責任者であるレパレンダス侯爵は軍事行動において補給の大切さ、そして補給計画が崩れることは想定してしかるべしことであるのだ。それを半年間であっても全く滞ることがなかったというのはその手腕が並はずれていることを意味している。


「ザーフィング侯、ザーベイル王国の補給はこの後に崩れる兆候はあったのか?」


 レパレンダス侯爵の問いかけにジオルグはしばし考え込む。


(ザーベイル王国の輜重隊の足は速く兵糧も豊富、少なくとも一年は持つものであった)


「いえ、おそらく一年は確実に補給が滞ることはないと判断してます」

「そうか……話の腰を折ってすまなかった。他の方々も失礼した」

「いや、護国卿の興味は当然だ。私としてもザーベイル王国の経済力は決して侮ることはできないことは理解していたが……一国を滅ぼしてもなお余力があるか」


 そこに財務省のディバル侯爵も神妙な表情で発言する。その声には明らかな警戒が含まれている。

 ディバル侯爵の警戒の理由がわからぬ者などこの場にはいない。一地方勢力であったザーベイルが自分達より遥かに広い領土を持つギルドルク王国を軍事力によって倒し、しかもそれを支える国力を有しているということなのだ。


「二つ目は今回の動乱で他国の干渉を求めているという判断です」


 ジオルグの次の言葉に出席者は疑問の表情を浮かべた。


「他国の干渉を求めているとはどういうことだ?」


 イルザムの疑問は出席者の心情を代弁したものは明らかだ。


「ザーベイル王国は旧支配者である中央貴族を駆逐した後も領土の支配を行なっておりません」

「それはわかっている。新支配者として受け入れられるために治安の悪化から社会崩壊まで行ったところで秩序を取り戻し保護者として支持を得ようというのだろう? だが、それは他国の干渉を受ければそれも崩れてしまうだろう」


 イルザムの意見に出席者は同意の姿勢を示す。


「王太子殿下の言われる通りだと私も考えておりました。ですが、その後の入ってきた情報から考えが変わりました」


 ここでジオルグの言葉に全員の視線が集中する。この辺りはジオルグの持つ情報網の大きさを知らしめるものである。

 ジオルグはそれを提示することで自分の有益性を示している。それはザーフィング侯爵家の利益につながり、配下の利益につながることを知っているからである。

 もちろん、国王であるアルゼイス王には事前に報告している。この辺りのバランス感覚をジオルグは有しているのである。


「まず旧所領の街道の要衝をきちんと押さえています。これはいつでも旧所領のどこにも軍を派遣することができること、そして旧所領の支配の意思があることを意味しています。そして、もう一つ我がガルヴェイト王国の大衆達の間に旧ギルドルク王国は荒れに荒れている。今出兵すれば利益を得ることができるのになぜ出兵しないのか?という声が上がりつつあります」

「なんだと?」

「王太子殿下のみならず皆様方も意外だったと思われます。ですが実際に利益を得るために出兵しろというのは自然に発生するものとは思えません」

「つまり何者かが煽っているということか?」

「はい。おそらくはジルヴォル王によるものと思われます」

「元王太子の亡命もその一手ということか」


 イルザムの言葉にジオルグは頷いた。


「国王、王妃が処刑され、王太子だけ(・・)がこのガルヴェイトへ亡命成功するというのはジルヴォル王が亡命を手引きしたと思われます」

「ならばジルヴォル王は他国を干渉させて、それを排除することで守護者としての地位を確立するというわけか」

「はい。他国人よりも元々同国人であるザーベイル王国の方がギルドルク王国民にとって受け入れやすいと思われます。そして間違いなく諸外国がギルドルク王国に干渉した場合に悪逆非道という評価が確実に下されます」


 ジオルグの確信を持った言葉に出席者達は怪訝な表情を浮かべた。


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