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報復宣言

「ジオルグ様、セレンス伯爵夫妻、カルマイス子爵、エディオル子爵の四名が到着しました」

「そうか、すぐ行く」


 ルシャールが恭しく私に一礼と同時に呼び出した者達が到着した旨を告げた。


 フィオナはセレンス伯爵夫妻という単語にやや生気を取り戻したようであった。自分の力では私には逆らうことが出来ないが、両親という心強い味方の登場に心強さを持つのは仕方ないというものだ。


「ルシャール、あの二人も呼んでおけ」

「はっ」


 ルシャールは恭しく一礼するとそのまま出て行く。


「おい、お前らもこい」


 私の言葉にレオンとフィオナは静かに頷く。目には先ほどまで見られなかった剣呑な炎が宿っている。


「なんだ?その目は?」


 私の言葉にびくりと二人は身を震わせた。


「まさか、お前ら呼んだ連中がお前らの助けになるなどと思っているのか?」

「な……」

「え……」

「私はお前らに言葉を発することを許したか?」


 私の冷たい視線を受けて二人はまたも身を震わせた。


「ロイ、アイシャ、この二人が逃げようとすれば容赦はするな」

「「はっ!!」」


 二人の言葉に私は満足すると執務室を出る。後にレオン、フィオナ、ロイ、アイシャの順に続いた。


「ジオルグ様、お待ちしておりました。皆様方中でお待ちでございます」

「そうか」


 応接室の前で一人の執事が恭しく一礼して告げる。私の視線を受けた執事は顔を強張らせた。


「すまんな。お前に向けたものではない」

「わかっておりますが……それでも身構えずにはおられません」

「ふ、私の短慮であったな許してくれるとありがたい」

「もったいないお言葉でございます」


 執事は深々と一礼すると応接室の扉を開けた。


 私が応接室に入るとそこには四人がソファに座っているのが見える。


 四人は視線を私に向けるが立ち上がろうとしない。我が国のマナーでは、訪問先の当主(・・)が現れれば立ち上がり一礼するものだが、それをしないというのは、二つの理由が考えられる。

 一つは私が当主でないと認識している。そしてもう一つは……礼儀を守る必要がない者と認識している場合だ。要するにナメているのである。


 特にセレンス伯爵夫妻は露骨すぎる嘲りの表情を浮かべている。


 確実にフィオナとの婚約解消について呼び出されたと思っているのだろう。


 もちろん、このメンバーを呼んだのはそのような事が理由ではない。


「お父様!! お母様!!」


 フィオナが助けを求めて駆け出そうとする。


「アイシャ」

「はっ!!」


 私の命令にアイシャが即座に応えフィオナの肩を掴むと足を引っかけてその場に取り押さえた。


「なっ!!」

「フィオナ!!」


 アイシャに取り押さえられたフィオナを見て、セレンス伯爵夫妻が驚愕の声をあげた。まぁ、目の前で娘が取り押さえられれば動揺もするというものだろう。


「ジオルグ!!貴様一体何のつもりだ!!」

「そうよ、いくら婚約を破棄されたからといっても暴力を振るうなんて恥を知りなさい!!」


 伯爵夫妻の激高にカルマイス子爵、エディオル子爵の二人も口を開く。


「君は一体何をしているんだ!!」

「すぐに彼女を放しなさい!!」


 四人の激高に私は当然ながらまったく動揺することはない。むしろ手間が省けるというものだ。


「セレンス伯爵令嬢は逃亡を企てた故の処置だ」


 私の静かな声に四人は意味が分からないという表情を浮かべた。


「卿らをここに呼んだのは、弁明を聞くためだ」

「な……」

「弁明?」


 ますます意味の分からないという表情を浮かべつつ、私に視線を向ける。


「とぼけるな……貴様らは我がザーフィング侯爵家を乗っ取ろうとしているだろう。この薄汚い簒奪者共が」


 私の言葉に四人だけでなくレオンとフィオナも驚愕の表情を浮かべた。



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