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【完結】最強の女騎士さんは、休みの日の過ごし方を知りたい。  作者: ろうでい
特別章 女騎士さん、北へ 《フェリー旅行》
74/121

特別編 エピローグ

――



 そわそわ。


 そわそわ。


「うーむ……」


 オキト城へと続く、大きな城門。

 その門の前で、オキト国王はローブを引きずりながらウロウロと歩き回っていた。

 腕時計を見たり、城下町の方を見たりと落ち着きの無いその様子を見て、その後ろのマグナが頬を掻く。


「あの、王様……。やっぱり中で待っていませんか?もうそろそろ暗くなりますし」


「だって、到着は十九時って連絡がきたのに……もう二分も過ぎてるんだもの。ああ、ルーティア達、大丈夫かなぁ。何か事故があったんじゃあ……」


「そのくらいは誤差の範疇なのです」


 胡座をかいて座り込むクルシュも、国王のソワソワを呆れるように見ていた。



 日が少し伸び、ようやく辺りが暗くなってきた時。


 城下町からオキト城へと伸びる桟橋の先に、一台の鳥車が見えた。


「……!!来たっ!!」


 それをいち早く発見したのは、やはりオキト国王であった。

 待ち望んでいたその影が早く近づいてこないかと、ソワソワが余計に大きくなる。


 ガアは国王、マグナ、クルシュの三人が待つ城門前に近づくにつれスピードを落とし、そして停車する。

 鳥車の中から、リーシャ、マリル、そして運転手であるルーティアが降り、久しぶりのオキトの大地を踏みしめるのだった。



「ルーティア・フォエル、リーシャ・アーレイン、マリル・クロスフィールド、ただいま帰還致しました」


 ルーティアがその場に跪き、それに続くようにリーシャとマリルも片膝を地面につける。


 先ほどまでソワソワと落ち着きの無かった国王は、それを隠すように背筋をピンと張って咳払いをした。


「うぉっほん。 ルーティア、リーシャ、マリル……フォッカウィドーへの遠征、ご苦労であった。面を上げるがよい」


「……先ほどまでとは別人なのです」


 頬杖をついたクルシュがぼそっ、と呟いた。




「クールーシュー……アンタねぇ。国王に渡すものが魔装具なら、最初からそう言っておきなさいよ……!おかげでびっくりしちゃったじゃない……!」


 オキト城内に入り、中を進んでいく六人。リーシャが恨めしそうにクルシュを見るが、少年は至って涼しい顔だ。


「試作段階の魔装具を渡すので、くれぐれも内密にという事だったのです。国王自らテストをするとなると色々と問題が発生するのですが、フォッカウィドー国王たっての希望だったので、そうせざるをえなかった、のです」


「まったく。とんだサプライズだったぞ」


「ええっ、そ、そんな事してたの……!?ワシ、全然知らなかったんだけど……」


「……知らされてなかったんですね」


 マリルが呆れた。

 フォッカウィドー国王も、無茶をする。

 兎に角、国王も自分も無事で良かった、と改めて胸を撫で下ろすルーティアであった。


「マグナ、留守の間は大丈夫だったかしら?」


 リーシャが聞くと、マグナは背筋をぴしっ、と伸ばす。


「はいっ!小型魔獣の討伐依頼など数件ありましたが、ボク達で対応しました!」


「怪我とかしてないでしょうね?」


「勿論です!依頼も全て完了しています!」


「……頼もしいわ。ありがと、マグナ。騎士団の事、アンタに任せて良かった」


 リーシャがにっこりと歯を見せて笑うと、マグナは赤面して喜んだ。


「あ、あ、ありがとうございます!!これからもボク、がんばります!!」


「……マグナちゃーん。あっちで強力なライバルが出来たのよー、ふふふふ」


「……?なんですか?マリルさん」


 意地悪そうな顔をしてにやけるマリルの頭を、リーシャが小突いた。


「言わなくていい」


「な、なんですか?ボク、気になるんですけど……」


 疑問符を頭に浮かべたまま、マリルとリーシャを問い詰めようとするマグナであった。




「さ、とにかく入って入って」


「……?大広間?謁見の間ではないのですか?」


 国王の案内でたどり着いた場所は、オキト城城門から真っ直ぐ進んですぐにある、大広間であった。

 普段は大所帯の客人をもてなしたり、舞踏会や宴会を開いたりする場所で、相当のキャパシティがある部屋になる。

 てっきり謁見の間で遠征の報告を行うと思っていたルーティア達は、たどり着いた場所に違和感を覚えた。


 しかし、その意味はすぐに分かる事になる。


 大広間へ続く、観音開きの大きなドアを国王が両手で広げると……。



 そこにいたのは、数百人の騎士団員、魔術団員達だった。


「「「 え??? 」」」


 ルーティア、リーシャ、マリルがその姿を視認すると同時に、団員達が持っているクラッカーが一斉に鳴る。



「「「「 おかえりなさーーーーいっ!!!! 」」」」



「ルーティア様、リーシャ様、おかえりなさい!旅はいかがでしたか?」

「あっちの戦士達はどんな戦い方をしてきたんだ!?気になるぜ!!」

「フォッカウィドー、行った事ないんだよねー……。ねえねえ、やっぱ海のものが美味しいの!?」

「マリル、船旅は初めてだったんだろ!?俺も今度家族で行きたいんだが、どうすれば乗れるんだ!?」



「わーっ!ま、まずはみんな、落ち着いて!ほら、嬉しいのは分かるけど、自分の席に戻る!ほらほら!!」


 まるで学校の先生のように、押し寄せる団員達をなだめようとするオキト国王。


 ルーティア、リーシャ、マリル。


 三人は、同じ表情をしていた。


 フォッカウィドーへの旅から帰った、思い出。

 そして再び、オキトに戻ってきたという実感。


 暖かく出迎えてくれる団員達に、自然と笑顔になる3人。


 その気持ちを代弁するかのように、ルーティアは国王の前へと歩み出て、叫んだ。



「みんなっ!! フォッカウィドーの美味しいお土産、たくさん買ってきたからなーーっ!!」



「「「「 うおおおおおっ!!!! 」」」」



 なによりもその言葉を待ち望んでいた団員達のボルテージは、最高潮に達するのであった。



――






これにて、『第一章』を閉幕させていただきます。


これよりしばらく休載をさせていただき、改めて『第二章』を書き始めさせていただきます!

再会は一ヶ月半くらい先の夏の再開を目標にしています。

スタイルは変わらず、新しい休日の過ごし方を色々と描いていければと思います。


ここまでお読みいただいた方、本当にありがとうございました!

今日でこの小説が続いてちょうど一年。

狙っていないのに、一つの節目になりました。

ここまでこれたのも本当に皆様のおかげです。

また夏に、もう一度お付き合いいただけると幸いです……よろしくお願い致します!

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― 新着の感想 ―
[良い点] 一章完結お疲れ様です。続きも楽しみにしてます。
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