宿敵同士のタックバトル
「やっぱり三分間か‥‥」
マキは自分の体を確かめながらつぶやいた。
あれから二日がたち体の変化にようやく馴染んでいくのを感じながら自分の部屋で今後について考えていた。
(この水晶の存在がばれてしまったらネオ魔王軍に真っ先に狙われてしまう。魔法が使えないこの状態じゃ対抗しようがなし)
マキが一人で考え込んでいるとドアをノックする音が聞こえた。
「おーい、今からトレーニングしに行くんだけどちょっと付き合ってくれないか?」
「何で僕がお前のトレーニングに付き合わないといけないのさ」
「そういうなよ。なんだか最近元気なさそうだったし、体動かしてたら少しぐらいリフレッシュできるぜ」
「うーん、わかったよ。そこまで言うなら付き合ってあげる」
マキは行き詰っていたこともありプラナの提案に乗ることにした。
「よし!なら下で待っているから早く来いよ」
「わかったから急かさないで」
準備を済ませるとプラナと一緒に少し遠くの草原に向かった。
「そういえばプラナっていつもどんなトレーニングしてるの」
「そうだな~筋トレを少しやって今はマナを微細に操るトレーニングとかかな」
「ふーん、意外とお前って努力家だよね」
「なんだよ意外って。俺は昔っから人より努力しないといけない凡人だからな、じゃないとお前を倒すこともできなかっただろ」
マキは当然のように言うプラナの言葉に納得していると草原に着いた。
「それで?なにを手伝えばいいの」
「マキには魔女の姿になって俺と本気で戦ってほしい」
「魔女に?なんでよ」
「今の俺がどこまで通用するのか試しておきたいんだ」
プラナの提案に少し驚きつつも自分の力が本当に戻っているのか確かめたかったマキはそれを承諾した。
「いっとくけど多分大怪我じゃすまないかあもよ。それでもいいの?」
「いいぜ、むしろ本気でやってもらわないと困る」
「わかった。じゃあいくよ!」
「おう!」
プラナがマキの問いかけに答えるとマキの体が光だし大人の女性のへと変身した。
「いつでもどうぞ」
「余裕ぶれやがって」
プラナが風の魔法を全身に纏うと、マキの体に強烈な一撃を入れた。
「どうだ、少しは効いたか?」
「そうだね、少しだけね」
プラナが次の攻撃を仕掛ける前にマキの倍以上ある風魔法がプラナの体をふとっ飛ばした。
「カハッ‥‥いったいな。ならこれならどうだ」
「いくら素早く動いても無駄よ」
マキはプラナの連続攻撃にも怯まずことごとく防いでいった。
「これで終わりじゃ」
「な‥‥」
マキの岩魔法で木に叩きつけられるとプラナの自己修復が追いつかずダウンしていまった。
「しまったな‥‥ここまで差があるなんて」
「今更後悔しても遅いこれでトド‥‥きゃふ」
マキは最後のとどめを刺す寸前で時間切れになり元の体に戻ってしまった。
「くそ~あとちょっとだったのにー悔しいー」
「危なかった、マジで死ぬかと思ったぞ」
「お前が本気で来いって言ったんだろ。それに最後は外すつもりだったし」
マキが手を差し出すとプラナはそれをつかみよろっと起き上がった。
「でもなんでこんな無茶なことを?」
「なんでってこれからお前を守るためにも必要な事だと思ってよ」
「守るって、僕は君の敵だよ。今は一時的に手を組んでいるだけで」
「でも今は仲間だ。それに」お前を倒すのは俺だしな」
プラナは自己修復で体の傷が完治するとマキにお礼を言ってマイペースに筋トレをはじめた。
「お人好しすぎるだろ」
マキはそんな姿を見てつぶやくと頬を少し緩めた。