宿敵同士のタックバトル
「入ってみると懐かしさのかけらもないな」
「そう?僕は実家に帰ってきたような気分だけど。まあ昔とは見る影も無いのは事実だけどね」
「攻め込んできただけのあんたにはわからないわよ。確か最上階にあるよね、水晶玉」
「多分、でも階段が崩れて上まで上がれない」
一階の探索をしながらクイナが上を見上げると五階まである城の階段は三階で途切れていた。
「水晶玉って何に使うんだ?占いでもやるのか?」
「そんなわけないでしょ。魔女の力を極限まで高めることが出来るアイテムだよ。お前と戦った時にも使ってたよ」
「そうか、じゃあ戦ってた時に壊れた可能性だってあるよな。さすがにないんじゃないか」
「探してみないとわからないでしょ。ネオ魔女軍の姿もないし、今のうちに調べられるところは調べよ!」
マキたちが各階を調べていると三階にいたプラナが埃かぶっている球体を見つけた。
「マキこんなもの見つけたんだけどこれじゃないよな」
「いやそれだよ」
「これなの!?冗談で言ったつもりなんだけど。これ水晶というには汚すぎるしなんなら石みたいなんだけど」
「マーちゃん以外が触れても反応しないようにできているの元から。でも見つかってよかった」
「そうだね、上出来だよプラナ」
一階に戻るとプラナはマキに水晶玉を渡した。
するとくすみまくっていた球体は綺麗な水晶玉になりマキの体に取り込まれた行く。
「うわ!眩しいなんだこの光」
「う‥‥ん‥‥アァ」
「マーちゃんその姿は!」
眩い光がおさまると胸が大きく豊満な姿をした女性がそこに立っていた。
「久しぶりに好調な気がするわ」
「嘘だろ‥‥麗しの魔女がいる」
「すごいわマーちゃん!この威圧感と溢れるマナはまさにあの頃のマーちゃんだわ」
「プラナお前は私を最大まで強化してしまったよ。これならお前どころか私たちの名を語る偽物軍を一掃するのも容易なこと」
魔女は余裕の笑みを浮かべるとマナの風圧でプラナを脅かして見せると、
プラナが眉間にしわをよせながら魔女を見た。その瞬間魔女から煙が噴き出しその中から疲れた表情で座り込んでいるマキが出てきた。
「あれ?元に戻ってる!?どうしてー」
「あらら、また可愛らしい男の娘にもどっちゃった。どうしてなんだろう?」
「とりあえずよかった‥‥かな。このまま力関係が逆さになっても止められそうにないし」
「良くないよ!あ~あこれで無双できると思ったのに」
マキは残念がり、プラナは気が抜けると同時に二人で肩を落とした。
「しかしなんで元に戻ったんだ?水晶だってお前の中にあるのに」
「恐らく魔女が今この世に二人いるからだろうね。元々一人しかいない存在が二人になったから」
「てことはどちらかが消えないと力をフルで発揮できないってことか」
「多分ね」
クイナが説明するとプラナは順を追って理解し、マキもそれに答えた。
帰り際襲われる危険性を考慮し慎重に森を抜けたが、不自然なぐらいに何もなく無事に街まで帰り着いた。
「とりあえず僕は自分の体を隅々まで調べてみるよ」
「そうね。今日は二人ともお疲れ様。帰ったら私もマーちゃんのこと調べてみるわね」
「ありがとうクイーン。それじゃあね」
「またねマーちゃん!あとプラナも」
「おう、またな」
別れの挨拶をすると各々の家に歩き出した。
マキはある歩きながら、今日の出来事に一抹の不安を覚えると自分の中にある水晶を確かめた。