表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/32

1ー04

ブクマ、評価嬉しいです!!ありがとうございます!

「魔術師にはランクがある。君だってよく分かっているだろうけども」

「どれくらい国に影響を与えるか、でランクが分けられてるんですよね、もちろん知ってる。予習しました!」

「当然だ。しかし初めての授業の際に伝えることは義務となっている」



 まずは初めての授業ということで。

 ユーリ先生は初歩中の初歩、魔術師のランクについてから教えてくれるらしい。



「面倒だと思うが、聴け」

「え…………な、なんて優しいの!?」



 絶対に私が知ってるって知ってるのに!

 それなのに! 面倒とかいいながら! わざわざ! 説明しようとしてくれるなんて!

 私は感動し、思わず仕事スイッチが入ってしまう。



「やだ、ユーリせんせぇ優しい〜〜〜! 本当にありがとう〜〜〜嬉しい〜〜〜!」

「……授業だからな」

「照れてる? もしかして。 やだーーー! 可愛い♡」

「照れていない」

「あ、せんせぇが誰にでもこんな風に優しいって知ってるけど気をつけてね! 女の子は優しい人に弱いんだから。私も好きになっちゃうところだった! って、あっ」



 完璧な笑顔を作ったところで思い出す。

 そうだ私……! もうホステスじゃないじゃん!?

 ホステスの仕事なんて褒めて褒めて夢を見させてなんぼだけど、今の私は生徒!

 ユーリ先生はお客さんじゃなくて先生!

 私が見るのは夢じゃなくて現実! そこは変わらないってわけね! 知ってた!



「あ、あのーーーユーリせんせ?」

「………………」



 無言のままで全然別のところを向いてるけど、もしかして怒ってる?


 恐る恐る私が顔を覗き込むと、ユーリ先生は無表情だった。

 いつもと変わらない鋭い目つきだし、口はへの字だし。


 うん、確かにいつもと変わらない。

 先生は私の視線をかい潜り、「くだらない話はここまでだ」といった。

 実に馬鹿馬鹿しいって感じで。


 けれど私にはわかる。

 だってさっき見た先生の顔は真っ赤だったから。



(ははーーん、実はあの先生チョロいわね)



 こういう時、ヒロインならば自分に寄せられる好意にもフラグにも気付かないと思う。

 けれど誠に残念ながら私は、そういうことに気付かない初心(うぶ)な女の子ではない。


 今までの人生において、私に向けられる好意っていう矢印は生きるために絶対に必要なものだった。

 その矢印にいかに早く気づくか、そしてどれだけ向けさせ続けるか。それが最も必要なことだった。

 だってそれを察する能力がないと生きていけない。食べていけない。

 肉食獣が自分を狙うギラギラとした視線に気付かない草食獣がいる?


 けど!

 今の私は!

 実家が太い!

 働かなくても生きていけるくらい太い!

 最高級に太い!

 多分アイドルやアプリにがーーーっつり貢いでも、働かなくて生きていけるくらい太い!! 極太!

 つまりは好意に気付かなくても大丈夫だし、夢を見させる必要もないし、愛想を振りまく必要も! ない!!


 でも!!!


 嫌われるより好かれていた方がいいよね♡

 愛想のない人より愛想がある人の方がいいし!

 笑ってる方が楽しく生きていけるし!

 何より人に感謝を示したり、感動を素直に言葉にすることは何にも悪いことじゃないし!


 というわけで、私は今の人生でもあんまり気にせずに生きていたりする。

 お上品に、とよくいわれるけど、最低限のマナーについては前世から重々いわれて守ってるし。


 いやーーー夜の世界でもマナーや常識がないとダメだからね? ほんとに。

 マナーとか常識大事。何処の世界でもそうなんだけど。ほんとに。


 そんなことを思いながら、あまり気にしないままの私は先生の話に頷いておいた。

 先生は魔術師のランクについて説明してくれている。



 曰く、この国では「国にどれくらい役に立つか否か」で魔術師のランクは決まる。



 この国の人々は生まれつきに、微弱ながら魔力を持っている。

 例えばお湯を沸かすことができる魔法を持つ引鉄魔術師(トリガー)ならば、簡単なお湯を沸かすくらいは自身が生まれながらに持つ魔力で何とか出来ることも多い。


 ただこの場合、「お鍋一杯のお水を沸かすことができる」程度の魔法ならば魔術師としてのランクは一番下。

 ランクでいうと「生活」レベル。

 その魔法は『生活に』影響を与えるランクです、って意味。

 他の言い方をすると「弾丸魔術師(バレット)いらず」ともいう。

 このランクの人が一番多い。範囲も広いしね。


 次に多いのが「文明」レベル。

 多いっていっても、ここからは弾丸魔術師(バレット)を使うことになるからだーーいぶ少なくなる。

 これは『文明に』影響を与えるランクって意味。

 

 私が知っている魔法でいえば、例えば「池の水を沸かせて温泉にできる」魔法とか。

 「数時間だけ雨を降らせることができる」とか。


 まぁこのランクを広い意味では生活ランクだっていう人もいるけど。

 簡単にいうと魔法を使用する際にバレットを必要とするか否か、かな。

 バレットを必要としない分だけ、生活ランクの方が上だって声もあったりする。


 で、次はもっとぐっと狭くなる。

 「軍事」レベル。

 これは『軍事に』影響を与えるランクって意味。


 例えば「動物の能力を借りることができる」って魔法があったとする。

 それが「ウサギとかハムスターの能力を借りてたくさんご飯が食べれるよ!」とかなら、生活ランク。

 「肉食獣の能力を借りて飛躍的に機能を上げることができます」とかなら、軍事ランク。


 どれだけ戦えるか。

 どれだけ国の戦力になるか、ってこと。


 このランクくらいになるとかなり稀になってくる上に、これはダイレクトに国力に繋がる。

 そのため、この学校にもこのランクの人は多い。


 で、次。

 まぁこれは軍事ランクと種類が違うだけで、ランク的にはほとんど同じようなものだと思う。

 「政治経済」ランク。

 その魔法が『政治経済に』影響を与えるランク。


 まぁ例えば色んな国の言語がわかる、とか。

 株の予想ができる、とか。

 難しくて私にはよくわからなかった。


 このランクもこの学校に多い。

 ていうか、ここまでくると「軍事」ランクも「政治経済」ランクも政治家か軍人さんになるので、重要人物になるからそりゃ多いよね!

 そして人数も少なくなるよね!

 特殊性(レアリティ)でいうとAランクってとこ。



「で、ここからが問題だ」



 と、ユーリ先生はいった。

 顔色はすっかり元に戻ってる。



「次のランクが『災害』ランク」



 特殊性(レアリティ)でいえばSランク。

 国に『災害級』の影響を与えるランク。

 台風とか地震とか、そのレベル。


 とにかくこの魔術師が本気を出すと国に重大なダメージを与えちゃうよ! みたいな。

 怒らせると怖いよ! 注意しなよ! みたいな。

 もしかすると国だって潰せちゃうかもよ! みたいな。


 ここまで来ると本当にそのランクの魔術師はいない。

 100年にひとりでたらいい方ってくらい。

 今のところ、このランクの魔術師はこの国では2人しか出てない。現在生きている人はゼロ。

 全世界で見ても3人しかいないらしい。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ